スズキが燃料タンク不具合で77万台リコール、ヘッドランプでも34万台 「アルト」「ハスラー」など:エンストにつながる恐れ
スズキは、軽自動車「アルト」「ワゴンR」など計7車種76万9032台のリコールを届け出た。燃料タンクに不具合があった。加えて、ヘッドランプの不具合によるリコールと、バックドアの不具合の改善対策も届け出ている。
スズキは11月19日、軽自動車「アルト」「ワゴンR」など計7車種76万9032台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。燃料タンクに不具合があったことで、燃料残量を示す警告灯が点灯しなくなり、エンストにつながる恐れがある。その他、ヘッドランプの不具合によるリコールと、バックドアの不具合の改善対策も届け出ている。
燃料タンクのリコール対象車種はアルト、ワゴンRのほか、「アルトラパン」「スペーシア」、マツダにOEM供給した「キャロル」「フレア」「フレアワゴン」の計7車種。製造期間は2014年12月〜19年4月。
対象車両では、樹脂製燃料タンクにおいて、燃料蒸発ガスホースの材料と圧力調整弁の表面の粗さが不適切だったため、圧力調整弁が固着するものがあるという。そのまま使用を続けると、燃料タンクが変形することで燃料レベルゲージが傾き、燃料計が実際の燃料残量より多い状態を示す。そうすると燃料残量警告灯が点灯することなく予期せぬ燃料切れとなり、エンストする恐れがある。
改善措置として、全車両の燃料蒸発ガスホースと通気配管を対策品に交換する。これまでに58件の不具合が報告されている。
ヘッドランプの不具合では、「ハスラー」「アルトラパン」、マツダに供給した「フレアクロスオーバー」の計3車種34万3877台のリコールを届け出た。製造期間は13年12月〜18年8月。
ディスチャージ(HID)ヘッドランプにおいて、製造管理が不適切だったため、ソケット内のパッキンに揮発性のシリコン化合物が残留しているものがあるという。そのため、その残留物がランプの点灯熱で揮発し、HIDバルブとソケットの接点に付着。接点で発生するアーク放電熱によって絶縁体の酸化シリコンが生成され、導通不良となり、ヘッドランプを点灯できなくなる恐れがある。
対象全車両のヘッドランプソケットを良品に交換するとともに、HIDバルブを新品に交換する措置を行う。不具合件数は406件。
改善対策を届け出たバックドアの不具合は、「ハスラー」と、マツダ「フレアクロスオーバー」の計2車種31万1843台が対象。製造期間は14年7月〜17年10月。バックドア用バランサの内部洗浄工程で、乾燥温度が不適切だったため内部に洗浄水が残っているものがあるという。内部がさびると、最悪の場合、バックドアを保持できなくなる恐れがある。対象車両はバックドア用バランサを良品に交換。不具合は551件報告されている。
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