「大炎上」の果てに降格も…… メールやSlackで怒り狂う人々が後を絶たない理由:トラブルを避けるには?(3/4 ページ)
在宅勤務の普及でメールやSlackでやりとりをするシーンが増えた。一方、使い方を間違えると大炎上してしまう。筆者が実体験を踏まえてアドバイスする。
では、どうすればいいのか
この一方性とオムニチャネル性の意味を考えれば、なぜ対面なら平和裏に終わる内容の会話がデジタル通信になると炎上し、その結果上司や社員同士の関係が悪化し、社内がギスギスしながら徐々に会社組織が機能不全に陥っていくのかが理解できる。「リモートワークはだめだ」と言い切って現場復帰を唱える企業が規模の大小を問わず多く存在するのも、デジタル通信の危険な特徴に対処しないまま社内外で非効率と炎上を繰り返す構造問題に一因があるに違いない。
ではどう対処すべきか? 筆者は、デジタル通信の一方性とオムニチャネル性が「デメリット」でなく「メリット」になるように、意図的に使い分ける配慮が重要であると考える。例えば、メールは、対面での会話や電話よりも、「情報共有」には優れている。受信側は内容のメモをとる必要もないし、内容を聞き取る時間も省ける。そして、その内容を閲覧する時と場所と頻度を自分の都合で決められる。
情報共有以外の場合、デジタル通信は極力避けたいところだ。誰かになにかを頼むときや、複雑な事情を説明したうえで相手側の意見を求めるときなどだ。そういった場合、双方向かつ同時進行で対話をすることが有効だ。互いの人生になにがあろうと、その時だけは共通の課題に向き合う精神状態のなかで、質問と反論の余地を互いに残したまま「依頼の交渉」が前に進められる。
「交渉」とはいっても、大会社の秘書同士が「次の会議はどの秘書がお茶をだすか」を巡ってメールでバトルを繰り広げる次元から、大企業同士の合併交渉で契約書修正の要否を巡り両社のアドバイザーらがプライドをかけて辛らつなメールをやりとりする次元までさまざまある。単なる情報共有で済まされない可能性が少しでもある内容なら、デジタル通信の一方性とオムニチャネル性は、その連絡を強引で、無礼で、押しつけがましく、無神経な行為に変えてしまう。
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