中国が覇権奪取に利用? 「QRコード」がコロナ禍で世界から注目されるワケ:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
G20サミットで中国の習近平国家主席が「QRコード」に言及。新型コロナ対策などで主導権を握ろうとしている。日本で生まれたQRコードは、コロナ禍を機に、中国に限らず世界で利用が進む。感染対策や非接触サービスをきっかけに、利用範囲が広がっていきそうだ。
11月20日から2日間の日程で、オンライン形式で開催されたG20サミット=主要20カ国の首脳会議。
史上初めて全てオンラインで行われ、NHKによれば、首脳宣言では「世界経済の回復を支援するため、全ての利用可能な政策手段を引き続き用いることを決意する」とまとめられた。
今回のG20では、会議途中でゴルフに行ってしまったドナルド・トランプ大統領以外にも話題になったことがある。中国の習近平国家主席のスピーチだ。習国家主席は、コロナ禍で国家間の移動を安全に行うために、国際的に受け入れられているQRコードを使うべきだとし、「多くの国がQRコードのシステムに加わることを望む」と語っている。
あたかも中国が新型コロナ対策のQRコード・システムを構築しているかのような口ぶりだ。とにかく2025年までに「中国製造2025」でハイテク覇権を握り、35年までに「中国標準2035」で中国の技術規格を国際標準化すると標ぼうしている中国だけに、とにかく何につけても世界的な動きで主導権を取ろうとする姿勢が見え隠れしている。ヘルス分野についても、「中国標準2035」の重要項目の一つになっていることから、ここぞとばかりに声を上げたということだ。
ただ中国の思惑は別にしても、今、QRコードそのものの利用については、世界的にもこれまで以上に注目が高まっている。そこでなぜ今、QRコードが話題なのか、探ってみたいと思う。
関連記事
- データも人材もファーウェイに流出? 倒産するまで盗み尽くされた大企業に見る、中国の“荒技”
2009年に倒産したカナダの大手IT企業が、中国から継続的なサイバー攻撃を受けていたことが報じられた。ファーウェイなどに情報や人材が流出したと見られている。コロナ禍で体力が弱った日本企業も標的になっており、すでに工作が始まっていても不思議ではない。 - 日本でも堂々リクルート 中国の“人材狩り”に切り込んだ、豪レポートの中身
オーストラリア発で、中国の“優秀人材狩り”に関するレポートが公開された。世界中に拠点を構え、あの手この手で先進分野の人材を協力者にしている。日本でもリクルートイベントなどを開催している。知財などの搾取を止めるため、法規制や危機管理を徹底すべきだ。 - 「シリコンバレーは中国に屈する」 Google元会長のエリック・シュミットが声高に唱える“危機感”
トランプ大統領が中国の脅威を煽っているが、Googleのエリック・シュミット元会長も、AIの分野で中国への危機感を主張する。中国は人権を無視したデータ収集や企業への巨大投資によって、スマートシティ構想を加速。日本も含めて、研究開発を進めないと追い付けなくなる。 - 米国の新型コロナ“急拡大”で迫りくる「中国復活」の脅威
世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大している。日本の経済活動において影響力が大きい米国でも、多くの州で非常事態宣言が出された。米国は今、どのような状況なのか。このまま感染拡大が続けば、先に復活した中国の力が増すことにもつながりかねない。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - まだまだ世界で人気? いまだに「FAX」を使い続けるワケ
新型コロナに関する保健所の対応で注目されたのが、今でもファクスを使っている実態だ。しかし、米国や欧州でもまだまだ現役で使われている。コストやビジネス文化などの理由でファクスが使いやすいという声も根強い。まだしばらく、なくなることはなさそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.