人気ステーキチェーンを超えた!? ハンバーグ専門店の「挽肉と米」と「極味や」に行列ができるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
「ハンバーグ専門店」に注目が集まっている。「挽肉と米」と「極味や」が新しい食べ方を提案し、行列ができている。ステーキブームが落ち着く一方で、なぜハンバーグが支持されるのか。
源流は焼き肉店のまかない
一方の極味やは、19年11月、渋谷パルコのリニューアル・オープン時に入居した。
極味やは、10年に福岡パルコに出店して以来、長蛇の列をつくっていた店であり、前評判は高かった。オープンと共に福岡で体験した人が押し寄せたのもヒットの要因だ。
店内は2連のコの字型カウンターになっており、カウンターの前には鉄板が広がる。店員が挽肉からハンバーグにこねて焼く過程を間近に観察できる臨場感がある。席数は24席。
極味やのハンバーグは、焼き肉店(01年に福岡市内にオープン)のまかないに源流がある。その焼き肉店は、極味やを運営する「わっはっは」という会社の社長である松尾和幸氏が創業した。
極味やでは、店員がさっと鉄板でハンバーグの表面を焦がして提供する。顧客は一口サイズに肉を崩しながら、セルフで赤い色が無くなるまで十分に焼いて食べる。この独自のスタイルは、ハンバーグ専門店を出店するにあたって研究した末に生み出された。
ハンバーグを半調理で提供し、顧客が自分で好みの焼き加減に仕上げて食べるというユニークなスタイルは、焼き肉にも似ている。箸も焼き肉店と同様に2種類ある。ハンバーグを焼く時は金属の箸を、焼き上がって食べる時は割箸をというように使い分ける。
福岡パルコに出店したきっかけは、わっはっはの運営する焼き肉店に、常連客が注文する裏メニューのハンバーグがあることを、パルコのリーシング担当者が聞きつけたことだ。その担当者が、いっそのこと、ハンバーグの専門店を出さないかとオファーした。そこから両社が共同で業態開発を始めたという。
同社系列の焼き肉店は、佐賀県の黒毛和牛・伊万里牛を創業期から毎週直接買い付け、お手頃な価格で提供して人気が高かった。高品質のハンバーグを焼き肉のように食べる発想は、このような背景で生まれたのだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「焼肉ポリス」がお客にダメ出し!? 安楽亭と牛角を脅かす「焼肉きんぐ」の戦略に迫る
大手焼き肉チェーンの「焼肉きんぐ」が快進撃を続けている。サービスの要となるのは「焼肉ポリス」の存在だ。豊富なメニュー開発力も強さを支える。 - 吉祥寺でステーキ戦争勃発 「いきなり!」「やっぱり」「ステーキ屋松」の決定的な違いをプロが分析
沖縄発の「やっぱりステーキ」が東京・吉祥寺に進出。この地には「いきなり!ステーキ」と「ステーキ屋松」がある。プロが3店舗を分析して分かった決定的な違いとは? - 「生ビール190円」の原価率は85%? お客が3杯飲んでもしっかり利益が出る仕組みとは
「生ビール1杯190円」という看板を見かける。安さでお客を引き寄せる戦略だが、実は隠されたメリットもある。どんな狙いがあるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.