ビジネスパーソンのためのSaaS KPI入門:SaaSビジネスで用いられるARR、ARPU あなたは説明できますか?(5/5 ページ)
ビジネス用語として定着した“SaaS”ですが、このビジネスを理解する上で欠かせないのが「SaaS KPI」と呼ばれる指標です。この記事では、SaaSビジネスにおいて、国内トップランナーであるfreeeの決算説明資料を基に、ビジネスパーソンが最低限押さえておきたいSaaS KPIの解説を行っていきます。
SaaS KPI観点からビジネスを知る
実際のfreeeの決算説明資料を見ていただくと、本稿で説明を行った項目でおおよそのビジネスの状況が理解いただけるかと思います。
SansanやHENNGEといった企業も、時系列でSaaS KPIの推移を示しており、各社ごとの違いを見てみるとより、SaaSビジネスへの理解が深まります。本稿が今後一層注目されるであろうSaaS企業について、KPI観点からビジネスを知るきっかけになれれば幸いです。
ポイントおさらい
- SaaSビジネス規模を図る基本はARRとMRR
- ARRは、「契約者数」と「ARPU(単価)」に分解可能。この内訳を時系列で確認することでARRの成長傾向を確認できる
- プロダクトの定着を図る解約率(Churn Rate)は、顧客種別により一定以下であることが持続的な成長の鍵となる
より理解を深めたい方向けのコンテンツ
当記事の執筆者運営のnote。「アナリストにSaaS企業分析・データ作成をアウトソースできる」をコンセプトに、記事中のARRやARPUといったSaaS KPIデータのダウンロードができるなどの独自コンテンツを配信。
日本発SaaS企業としての責任感をシンプルに。freeeが決算説明資料に込めた「思い」
本記事でコメントを頂いているfreeeファイナンス統括の原さんが、自社の決算説明資料公表の意図や想いを丁寧に解説している記事。情報を開示する方が自身で説明をすることはまれで貴重な内容となっています。
筆者プロフィール:早船明夫
アナリスト。新卒で国内金融情報ベンダーに入社後、2013年よりユーザベースに参画し、SPEEDAのコンサルティングチームマネジャーなどを担当。2020年より独立・起業し株式会社クラフトデータを創業、noteにてSaaS企業コンテンツ「企業データが使えるノート」を運営。ベンチャーキャピタル UB Venturesでシニアアナリスト兼務。
関連記事
- SaaSはバックオフィスの何を変えるのか
バックオフィス業務を支える便利な道具に、SaaS(サース)がある。営業やマーケティングの分野が先行して導入が進んだが、ここにきてバックオフィスにもSaaSの活用は広がっている。SaaSを導入して効率化された企業もあれば、逆にうまく活用できずに生産性が下がってしまったという企業もある。その違いはどこにあるのか。 - マネーフォワードがSaaSビジネスのKPIを開示 19年11月決算
SaaSビジネスでは、顧客ごとに業績を分析するユニットエコノミスクを利用する。いったんユーザーを獲得すれば継続的に売り上げが生まれるSaaSモデルの特性から、企業全体の売り上げやコストというよりも、顧客あたりの、獲得費用、売上高(ARPA)、解約率(チャーンレート)によって事業を評価する仕組みだ。 - SaaS企業をアナリストが分析「企業データが使えるノート」公開
クラフトデータは11月20日、アナリストがSaaS企業のKPIデータや企業分析コンテンツを行う「企業データが使えるノート」を公開した。 - すべてのビジネスはサブスクへと向かう 専用の管理基盤Scalebaseを提供するアルプの狙い
昨今大流行のSaaSビジネスだが、その管理の裏側は相当に複雑化している。サブスクリプションビジネス専用の管理サービス「Scalebase」を提供するアルプは、すべてのビジネスがサブスク化することをにらみ、専用の管理プラットフォームをSaaSで提供する。 - freee上場 クラウド会計に続くビジョンを話す
クラウド会計ソフトを提供するfreeeが12月17日、東証マザーズに上場した。公開価格は2000円で、初値は2500円となり、時価総額は約1200億円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.