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東芝の“絶対に破られない”「量子暗号通信」開発責任者を直撃 市場の4分の1を取ってリーディングカンパニーへ医療、金融、政府機関の分野で実用化(4/4 ページ)

東芝は「理論上、盗聴が不可能な量子暗号通信」といわれる将来的に有望な暗号技術の開発に成功した。事業化を目指す責任者の村井信哉・新規事業推進室プロジェクトマネージャーと研究開発センターの佐藤英昭・上席研究員にその背景を聞く。

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ノーベル賞の受賞者は?

――この分野でノーベル賞の受賞者が出ることはないか。

佐藤上席研究員: 元の理論を作った人は欧米の科学者で、東芝はこの技術を応用して実用化を目指している。今年、スウェーデンの地元紙で「この分野で受賞者が出るのでは」という報道はあった。

――東芝の再建を担っている車谷暢昭社長はこの技術をどうみているのか。

村井マネージャー: 東芝の中期計画「ネクストプラン」にも盛り込まれており、全社的に推進している。

佐藤上席研究員: この暗号技術の開発は、政府の支援を受けている。2011年から情報通信研究機構の委託研究として東京QKD(Quantum Key Distribution、量子鍵配送)ネットワークの構築に参画した。実現すれば産業や社会の在り方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指す政府の国家プロジェクトである「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT、14〜18年度)」にも取り入れられた。現在、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で量子暗号を活用した量子セキュアクラウドの社会実装に取り組んでいる。

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適用事例

光明を見いだせる技術開発

 以上がインタビュー内容だ。17年8月には東京証券取引所の2部に降格となるなど、業績の回復に苦労している名門企業の東芝にとっては将来の光明を見いだせる技術開発だと感じた。多くの先端技術でトップランナーのいなくなった日本企業の中では、虎の子の技術といえるのではないか。数年前までは半導体のフラッシュメモリの分野で技術力の高さを示した東芝だが、韓国のサムソンに追い越されてしまった。

 半導体は組み立て産業のため、ライバル企業の動向が気になるところだが、量子暗号技術は文字通り少数精鋭による頭脳の勝負。革新となる技術は基礎技術の積み上げがなくては日の目を見ない。この技術が東芝を救う事業の柱になるかどうか見守りたい。

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