安易な「Go To イート」批判に喝! “功罪”を検証して見えてきたものは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
「Go To イート」には批判も多い。しかし、実態とは違うイメージで語られていないだろうか。キャンペーンの功罪を検証する。
プレミアム付食事券は来年6月まで延長
「Go To イート」には、インターネットの飲食店予約サイトを使ったポイント付与事業(給付金616億円)と、都道府県単位で発行されるプレミアム付食事券事業(給付金868億円)の2種類がある。前者は11月末までに予算を使い切り、ポイントの付与期間が終了した。しかし、11月13日時点で加藤勝信官房長官が明らかにしたところ、約9割のポイントが未使用であり、現在もたまったポイントが順次使われているという。
また、後者のプレミアム付食事券事業は、10月5日に全国に先駆けて新潟県が発売を開始。最も遅れていた青森県が、12月1日にようやく開始したばかりである。
プレミアム付食事券は、購入額の25%(追加発行分は20%)が上乗せされるが、都道府県によって発行形態が異なる。
東京都の場合、アナログ食事券では1万2500円分の食事が1万円で可能となる。また、デジタル食事券においては、1万円分の食事を8000円でできる。500円や1000円の券があるので、1回で使い切る必要はない。
来年の3月末に事業終了を予定していたものの、プレミアム付食事券に限り、6月まで延長することが決まった。
疑うべきはごく一部の飲食店
「Go To トラベル」と同様に、「Go To イート」にも効果がなかったという意見も多い。しかし、「Go To イート」に全ての飲食店が参加できたわけでない。感染症対策をしていない店、接客を伴うキャバクラやホストクラブの類の店、カラオケ設備のある店、テークアウトやデリバリーのみで営業している店などは、最初から除外されていた。
つまり、3密(密閉・密集・密接)や大人数での会食を避け、大声で話すことにつながる大量飲酒を控えて、新型コロナの感染リスクを回避しつつ飲食を楽しんでくださいという趣旨だ。そのうえで、大きく傷ついた飲食店と、飲食店に食材を提供する地方の農家・畜産家・漁師を応援するのが目的となっている。気の緩みによる、どんちゃん騒ぎを奨励するものではない。
それどころか、「Go To イート」に参加するために、感染症対策をしっかり行った店も多い。飲食店の啓発にも「Go To イート」は役立っている。
感染拡大の原因を疑うのなら、「Go To イート」に参加していない、3分の2以上の飲食店の一部に大きな問題があったと見るべきだ。
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