安易な「Go To イート」批判に喝! “功罪”を検証して見えてきたものは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
「Go To イート」には批判も多い。しかし、実態とは違うイメージで語られていないだろうか。キャンペーンの功罪を検証する。
4人以下での利用が多かった
ポイント付与業者の1つである「ぐるなび」の調査では、「Go To イート」対象店舗における10月の予約人数は、平均で3.2人。前年同月の5.6人から2.4人減少している。1人(12.4%)、2人(39.9%)、3人(16.8%)、4人(15.3%)を合わせると、1〜4人で84.4%となる。つまり、4人以下の気心の知れた者同士で、集まって会食をしているのがほとんどなのだ。
もともと10人分までの予約でポイントが付いた。しかし、11月中旬には、プレミアム付食事券を含め、4人以下で利用するように菅義偉首相が要請している。ところが、元から5人以上ではあまり使われていなかったのだ。
今、街に出れば、ほぼ100%の人がマスクをしている。マスクをすれば本当に感染を防止できるのか。その是非はともかく、それだけ新型コロナの感染拡大防止に留意している人が多い。そうした善良な人たちが、たまの家族サービスや身内の集まりで利用しているのが、大半の「Go To イート」の実態なのである。
「参加しないのはあり得ない」の声も
また、ぐるなびによれば、10月のネット予約数は1年前と比べて3倍になっている。それだけ多くの人が利用したことになる。
さらには、ランチの予約が11.3%から25.4%に倍増している。ディナーで使ったほうがより多くのポイントがたまるにもかかわらず、ランチへのシフトが進んだのも大きな特徴だ。
飲食店向けの予約・顧客管理システムの開発などを行うTableCheck(テーブルチェック、東京都中央区)が、全国151の飲食店関係者に対して、11月26〜30日にアンケート調査を行った。実際に利用した予約サイト(複数回答可)は、「食べログ」(74.8%)、「一休レストラン」(67.9%)、「ぐるなび」(53.4%)、「ホットペッパー」(32.1%)、「オズモール」(30.5%)、「レティ」(28.2%)の順だった。予約数とサイト活用率が比例するとは限らないが、少なくともぐるなび並みの効果があったサイトが複数あったと見るべきだろう。
東京都23区内にあるいくつもの個人店からも、「『Go To イート』に参加しないというのはあり得ない。そう言えるほどの効果があった」という証言を聞いた。10月、顧客の半数が「Go To イート」経由だった店も珍しくないほどだ。
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