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地価の伸び率は全国一 ”基地の島”沖縄ならではの不動産カルチャー(4/4 ページ)

沖縄県内の地価は、2020年7月1日時点で前年比4.7%上昇。伸び率は3年連続で全国一、7年連続で上昇を続けている。その中でも安定資産として人気が落ちない物件がある。それが……

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米軍関係者向けの住宅は高メリット 一方リスクも

 軍用地への投資のほかに、沖縄に駐留する米軍関係者向けの住居を貸し出す形で不動産投資に取り組む人も増加している。那覇市に住む徳永裕幸さんは、30代半ばにして10棟の不動産を所有する。うち1棟は一般県民向けのアパートで、残りの9棟が基地の外にある米軍住宅だ。

 徳永さんによると、米軍向け住宅には日本人向けとは違うニーズがあるという。米軍関係者はその駐留地ごとに定められた家賃補助があり、日本人一般の感覚では高額ともいえる家賃でも入居する人が多いという点だ。一般的に米国の住居は、日本よりも広く余裕のある造りで、大きな家に住むことが生活上のスタンダードとなっている。また、日本での一般的な住宅より、建築コストが多少低く抑えられる面もある。生活習慣の違いが住居の造りに表れたもので、アメリカ人は靴を履いたまま屋内で過ごすため、床面を作らずにコンクリートのままにする、などの違いがある。


徳永さんの所有物件。単身世帯向けでも約20万円だ(1LDK、沖縄市)=インスタグラム(@hitotokunaga)より

 その一方、米軍関係者向けの不動産投資ならではのリスクも存在する。兵力移転や、もともとの家賃が高いことによる家賃の下落などだ。例えば、沖縄の海兵隊がグアムに移転すると何千人分もの家が必要なくなってしまう。そのため返還の予定がない基地の周辺に集中して物件を所有し、兵力移転時のリスク回避を行っている投資家もいる。

 しかし依然として高いメリットから米軍関係者向けの不動産に乗り出す人は増え続け、徳永さんは「現状は供給過多」だと分析する。投資家は住居のサイズ感やロケーション、物件までの運転のしやすさなどを見極め、差別化を図っているようだ。

著者プロフィール

長濱良起(ながはま よしき)

フリーランス記者。元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。

琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。

2018年、北京・中央民族大学に語学留学。同年から個人事務所「XY SUDIO」代表。記者・ライター業の傍ら、フリーのTVディレクターや音楽制作業でも活動する。1986年、沖縄県浦添市出身。

著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房)がある。


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