コロナ禍でも絶好調の「焼肉きんぐ」 強さを支える「カルビ」と「包み込み戦略」とは:飲食店を科学する(5/5 ページ)
コロナ禍で飲食店が苦戦している。一方、「焼肉きんぐ」の既存店売上高は前年対比123.3%と好調。強さの秘密を分析した結果は?
包み込み戦略は誰でもできることではない
この26%というシェア率は、シェア理論においては「一番店シェア」となります。商圏内において、同社が一番店として繁盛していることを示しています(シェア理論についてはまた別の機会に詳しく解説)。
焼肉きんぐはメニュー開発力により、「A:ぜいたくニーズ」「B:焼肉お腹いっぱいニーズ」「C:お父さんの飲みニーズ」「D:食事ニーズ」というさまざまな客層を獲得する包み込み戦略によって、商圏内で圧倒的なシェアを獲得できています。
こうした包み込み戦略は、オペレーション面で店舗負荷も大きいため、全ての企業が行えるわけではありません。同社の長年の企業努力があるからこそ、できることでしょう。
今回の調査店舗の商圏人口は18万人でしたが、物語コーポレーションの決算説明資料によると、今後は10万人未満商圏への積極的出店を行うそうです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
皆さまにとって少しでもご参考になれば幸いです。
著者プロフィール
三ツ井創太郎
株式会社スリーウェルマネジメント代表。数多くのテレビでのコメンテーターや新聞、雑誌等への執筆も手掛ける飲食店専門のコンサルタント。大学卒業と同時に東京の飲食企業にて料理長や店長などを歴任後、業態開発、FC本部構築などを10年以上経験。その後、東証一部上場のコンサルティング会社である株式会社船井総研に入社。飲食部門のチームリーダーとして中小企業から大手上場外食チェーンまで幅広いクライアントに対して経営支援を行う。2016年に飲食店に特化したコンサルティング会社である株式会社スリーウェルマネジメント設立。代表コンサルタントとして日本全国の飲食企業に経営支援を行う。最近では東京都の中小企業支援事業の選任コンサルタントや青森県の業務委託コンサルタントに任命される等、行政と一体となった飲食店支援も積極的に行っている。著書の「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則(DOBOOK)」はアマゾン外食本ランキングの1位を獲得。
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