人を集めて成長してきた貸会議室のTKP コロナ禍で見つけた新たな需要とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/3 ページ)
貸会議室大手のTKPはリアルな場に人を集めて成長してきた。コロナ禍で状況は一変した。どのようなビジネスチャンスを見いだしているのか。
情報を発信する場を提供
現在、TKPが注力しているサービスの1つは「ウェビナーパッケージプラン」だ。インターネットを通じて、セミナー、講演会、講義、研修、会社説明会、製品紹介、会議などを行う企業を支援する。顧客のニーズに応じて、撮影・配信機材や配信スタジオなどを提供する。
コロナ禍で大勢の人を集めるイベントが開催しにくくなっているが、情報を顧客や自社の社員に発信したい企業は多い。ウェビナー(オンラインセミナー)の開催を手助けするのが目的だ。
TKPは「どのようにイベントを開催すればよいのか」「Webセミナーのやり方はどうするのか」といった相談を多数受けたことを踏まえ、ウェビナー無料体験会も開催している。
株主総会の支援にも力を入れている。従来、大きな会場に株主を集めて株主総会を開催する企業が多かった。しかし、コロナ禍の影響で規模を縮小せざるを得ない。そこで、TKPでは「ハイブリッド型バーチャル株主総会支援パッケージ」というサービスを打ち出している。これは、リアルな株主総会を開催しつつ、総会の場に来れない株主のために、インターネットなどを通じて遠隔地から参加・出席ができるようにするものだ。
岡田氏によると、こういったサービスは、これまでの貸し会議室ビジネスと比べ、手間やコストがかかるという。通常の会議室利用では、スタッフが現場にずっと張り付いている必要はほとんどなかった。しかし、オンライン配信の場合は、映像や音声が途切れるといったトラブルが発生した際、すぐに対応しなければならない。機材の費用や人件費がどうしてもかかってしまう。
TKPでは、基本的にウェビナーに必要な機材やスタッフは“内製化”している。しかし、受注件数が増えてくると外部のパートナー企業の助けが必要になる。現在、ウェビナーの需要が増えているため、関連費用が高騰している状況だという。
岡田氏は今後、さまざまなイベントはオンライン・オフライン両方に対応する形で開催されるようになるのではないかと分析している。
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