コロナ禍で注目、水道いらずの手洗い機「WOSH」 排水量はわずか1%:水インフラが変わる(2/2 ページ)
東京銀座の歩行者天国に、白いドラム缶型のスタンドが並んだ。水道につながなくても使える水循環型の手洗い機「WOSH」だ。
「店の入り口で手を洗う」新しい日常の風景に
そんな中で起きた新型コロナウイルスの感染拡大。手洗いの重要性が高まる中、何かできないかと開発したのがWOSHだった。ウォータCEOの前田瑶介氏は「アルコール消毒は手洗いの代替ではなく、あくまで補完でしかない」と開発の経緯を語る。
「以前、あるカフェチェーンの社長と『お店の入り口に手洗い場が欲しいよね』という話になり開発を始めた。手洗い場があれば入り口で水際対策ができるし、衛生効果としてもアルコール消毒ではなく手を洗うことがベスト」(前田氏)
店舗入り口での手洗いは、実際に多くの人が必要だと感じているようだ。同社が8月に実施した調査では、98.2%の人が外出先のウイルス対策として手を洗いたいと思うと回答。一方で、手を洗いたいのに洗えない、もしくは洗いづらくて困ったことがあると答えた人は79%に上った。
また、入り口で手を洗いたいと思う施設としては「飲食店」が最も多く83.6%。次いで「病院」(60.0%)、「スーパー」(45.6%)と続いた。多くの人が定期的に訪れ、人や商品などと触れ合う場所での「手洗い需要」が多いことが分かる。
開発にあたりこだわったのは、日常的に使用できるものにすること。この装置を普及させて「新しい日常の風景」になることを目指した。WOSHには、スマートフォンの除菌機能も搭載した。手を洗っている間に手洗い場の横にある穴にスマホを入れると、表面についた菌を99.9%以上を除去できるという。「スマートフォンは『第3の手』とも言われている。どうせならWOSHで全ての“手”をきれいにして欲しい」(前田氏)
7月の発表後、飲食店や商業施設、病院などから問い合わせが相次ぎ、約150カ所での設置が決まった。「入り口で手を洗うという全く新しい習慣だが、場所によっては“しっくり来ている”ようだ。これが次の日常につながれば、設置場所はもっと広がると思う」(前田氏)
新型コロナウイルスの影響でさらに需要が高まることも見込まれていて、同社は2021年末までに日米で約1万台の販売を目指す。将来的には、手洗い設備を持たない地域に住む30億人に提供するのが目標だという。
WOSHが私たちの新しい習慣を作るきっかけになるかもしれない。
関連記事
- DMM子会社ベルリング、新型救急車を公開 第3の救急車メーカーとして22年の量産化を目指す
DMM.comの子会のベルリングは、新型救急車「C-CABIN」のコンセプトカーを発表した。同社は21年11月までに開発を完了し、22年1月から量産化を目指す。将来は東アジアなどでの展開も予定している。大手メーカー2社の寡占状態が続く業界に参入した思いとは。 - 高輪ゲートウェイ駅で働くロボットを公開 JR東、「非接触・非対面」をテーマに実証実験
JR東日本は11月26日、新しい生活様式に則したサービスを提供するロボットの実証実験を高輪ゲートウェイ駅で行うと発表した。テーマは「非接触」や「非対面」など。 - 「空飛ぶクルマ」内部が公開 実際に座って分かったSkyDrive社の狙い
空を自由に移動してみたい――。誰もが一度は考えたことがあるだろう。その夢が近い将来実現するかもしれない。有人飛行に成功した空飛ぶクルマを開発したSkyDriveが、展示用モデルの一般公開を開始した。 - 「傘を持ち歩かない生活を」シェアリングサービス「アイカサ」 設置場所拡大
傘のシェアリングサービス「アイカサ」の設置場所が拡大している。9月2日までにJR山手線線12駅に82台の設置を完了した。主な利用者層は20〜40代。通勤通学での需要を見込み山手線での設置を拡大した。また、環境省と連携し、熱中症警戒アラートが発表された日は、無料で使えるサービスも実施している。 - 羽田イノベーションシティーで運行する「自律走行バス」に乗ってみた
東京都大田区の羽田イノベーションシティー(HICity)で9月18日から定常運行を始めた自律走行走行バス。乗り心地はどうなのか、実際に乗ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.