このままでは第2の「珪藻土・アスベスト」事件が起きる ニトリやカインズは真相を解明できるか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
2020年末、珪藻土バスマットなどにアスベスト(石綿)が混入していたとして大騒動になった。はたして、真相は解明されるのか。結局は、“うやむや”にされてしまう可能性もある。
ニトリやカインズでも
12月15日には、カインズが珪藻土バスマット、吸水石けんトレイなど17製品、29万点にアスベストが含有されている可能性があると公表。対象商品は18年5月26日〜20年12月12日に販売されており、回収の対象となっている。
これらは中国の協力工場で製造したものだが、アスベストが混入したのが「原材料段階」「工場段階」「加工段階」のどこなのか、現在は原因究明中とのことだ。
カインズでは、珪藻土商品の販売を念のため中止しており、原因が究明され次第、相応の対策を行っていくとしている。
12月22日、ニトリの珪藻土コースター7種類、珪藻土バスマット2種類の流通数(販売済み数)241万3591個に、アスベスト含有の可能性があることが判明した。また、29種類の珪藻土製品(流通数65万46個)を対象として、アスベスト含有の有無を調査中だった。
ニトリHDは、同月26日に似鳥昭雄会長らが出席して謝罪会見を行った。16年12月4日〜20年12月16日に販売した8品目(色・サイズ別18)について、検査不合格であったことを表明。色・サイズ別では、コースター14製品、バスマット4製品が、アスベストを含んでいた。
対象商品と類似商品の見分け方は、「ニトリネット」から確認できる。しかし、正直、かなり分かりにくい。同じ長方形・溝なし無地・白のバスマットでも、サイズによって合格品と不合格品が混在している。
これらは、中国の委託工場で生産された商品である。ニトリは、品質検査のために約100人を投入する体制を整えていた。しかし、同じ商品のサイズ違いで、アスベストが混入した原料と混入していない原料が混在するとなれば、見破るのは難しいかもしれない。記者会見で似鳥氏も「全ての商品の品質チェックをしている。アスベストの検査は行われたが、その時はひっかからなかった。表面上は問題なかったが、中にアスベストが入っていたことが分かった」と釈明している。
ニトリの武田政則社長は、「委託先では(内容物、原材料の)成分調査にはアスベストの検査は含まれておらず、特有のアスベスト用の検査をしないとアスベストの含有量が分からないという状態だった」と、検査に甘さがあったと認めた。
なお、回収の対象には中国で販売された商品も含んでいる。
当該委託工場は、品質向上を目的として、アスベスト騒動に関係なく変更されており、既にニトリの製品をつくっていない。ニトリでは定期的に工場の見直しを行っているが、もう取引のない工場を徹底的に調べるのは困難ではないだろうか。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 新成人が「欲しい車」ランキング 3位はフォルクスワーゲン、2位はBMW、1位は?
ソニー損保が新成人のカーライフ意識調査を実施。普通自動車運転免許の保有率や欲しい車が明らかに。どんな傾向があるのか。 - 家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
スタバは大都市の一等地に多くの店舗を構えている。1杯数百円のコーヒーを販売しており、店に長居するお客も多い。家賃が200万円以上するような場所でも利益が出せる秘密とは? - スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」がどんどん“ドンキ化” 一方で住民から不安の声も
スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」が“ドンキ化”している。運営会社は2022年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。その一方で、生まれ変わる予定のアピタ岐阜店の周辺住民からは不安の声が出ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.