2015年7月27日以前の記事
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FFGのみんなの銀行、地銀傘下で全国狙う スマホ専業銀行の勝算

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下で、新たに銀行免許を取得したみんなの銀行が5月下旬から営業を開始する。横田浩二頭取は会見で、「デジタル・ネイティブ層をターゲットに、デジタル・ネイティブなシステムを構築した。全国をターゲットにしたデジタルバンキングを模索する」と方向性について話した。

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 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下で、新たに銀行免許を取得したみんなの銀行が5月下旬から営業を開始する。横田浩二頭取は会見で、「デジタル・ネイティブ層をターゲットに、デジタル・ネイティブなシステムを構築した。全国をターゲットにしたデジタルバンキングを模索する」と方向性について話した。


みんなの銀行の横田浩二頭取

 地域金融グループの枠組みを超えた展開を目指す。従来の銀行の延長線上にある業務プロセスにとらわれず、企業カルチャーもダイナミックに変革していくため、別会社とした。人員は約100名だが、そのうち6割は銀行以外、他業種からの人員を採用。半数をエンジニア、マーケッター、データサイエンティストが占め、「ディスラプターよりも先に銀行の常識を覆す」(横田氏)と意気込む。

 そのため、Googleのパブリッククラウドで稼働する新たな勘定系システムをスクラッチで開発。マイクロサービスアーキテクチャーを採用し、オープンAPIも当初から用意した。


アクセンチュアの基盤の上に、みんなの銀行の開発子会社であるゼロバンク・デザインファクトリーとアクセンチュアがアプリケーション部分を開発した(みんなの銀行)

個人向けサービスからスタート、BaaS事業も

 当初展開するのは個人向けのリテール事業だ。大学生から38歳までのミレニアル、ジェネレーションZと呼ばれるデジタルネイティブ層をターゲットに、スマホ専業の銀行サービスを提供する。

 スマホアプリから24時間365日口座開設が行え、eKYCなどを利用して一切の書類提出を不要とした。通帳だけでなく、一切のカード類の送付も行わない。現金引き出しは、セブン銀行のATMを使い、スマホアプリを使いQRコードを使って行う。またアプリ内にバーチャルデビットカード(JCB)を即時発行し、Apple Payなどに登録してQUICPay加盟店で支払いが行える仕組みも提供する。


銀行としての基本機能を当初提供するほか、現金不足時にはプレミアムユーザー向けに5万円までの無利子貸越サービスも提供する(みんなの銀行)

預金残高データを用い、現金不足時は融資サービスを、現金が多い場合貯蓄サービスなどを促す(みんなの銀行) 

 次の展開として、個人向けサービスで提供する機能を個別に切り出して外部事業者に提供するBaaS(Banking as a Service)事業を行う。ユーザーを持つプラットフォーム事業者に銀行機能を提供する、いわゆるネオバンクの位置付けだ。「個人向け銀行機能を個別に切り出して、また組み合わせてホワイトレーベルのような形で事業者に提供していく」(みんなの銀行の永吉健一副頭取)

 さらに、アクセンチュアと共同開発した勘定系システムについても、外部の銀行を作りたいという事業者に提供する事業を行うという。


個人向けのB2C事業を皮切りに、BaaS事業、システム基盤の提供事業も行っていく予定

 UIUXを武器にスマホ上で銀行サービスを提供する企業は、海外ではチャレンジャーバンクなどと呼ばれ、欧州大手のレボリュートやN26、Monzoなどが急速に勢力を伸ばしている。これらチャレンジャーバンクは必ずしも銀行免許を持たずに、決済や送金などのサービスを提供しているが、みんなの銀行は敢えて銀行免許を取得した。

 横田氏はその理由として、「決済や融資など銀行免許がなくてもさまざまな事業者が銀行の事業領域に参入しているが、なぜ銀行免許を取得するか。それは銀行しか取り扱えない預金がデータの宝庫だから。預金のデータは、与信にもリスク管理にも使える」と話し、預金情報をビッグデータとして使い、サービス開発に活用するとした。

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