“株価と経済の乖離”は時代遅れ? コロナ以前まで回復してきている経済(2/2 ページ)
2万8000円を超え連日バブル後最高値を更新する日経平均、過去最高値を更新し続ける米NYダウ平均株価など、株高が続いている。これに対して、「経済と乖離(かいり)した株高」と呼ぶ人もいるが、果たしてどうか。
飲食や小売業績を反映しにくい日経平均
もちろんここでいう経済とは、株価のファンダメンタルズを支える企業業績のことを指す。飲食や小売産業に携わっている人口は多いが、株価の指標の1つであるTOPIXは製造業が半分を占める。そして日経平均株価の場合、電機、輸出産業の比率がさらに高くなる。
製造業の業績は相当に回復しており、それを強く反映した株価指数も高くなるのは別に“乖離”ではないということだ。生活実感としての経済状況と、株価を支える製造業における経済状況に乖離があるともいえるかもしれない。
経済の回復で説明できるのは日経平均2万4000円まで
そんな中では、現在の2万8000円を超える日経平均をどう読み解くべきか。神山氏は「経済の回復部分で説明できるのは2万4000円までだ」と話す。コロナ前の株価は2万4000円であり、経済がコロナ前に回復したからといって、それを超える理由はない。「ワクチンで経済が成長できるわけではない」からだ。
では上乗せされた4000円分とは何か。神山氏は、経済正常化に加え財政政策でブーストされている部分だと説明する。「米国では、失業者手当にさらに上乗せされたことで、持ちきれないくらいお金を持っている状態。日本も多かれ少なかれ同じで、それによる上乗せで2万8000円は説明できる」
先の米国小売売上高はコロナ前を超える水準に回復しているが、一方でコロナで2200万人も失われた雇用は、まだ1000万人しか戻っていない。雇用がないのに消費が増える理由は、シンプルに政府の財政政策だ。
「配ったお金は消費に影響を与えているが、旅行や食事ができない分、余ったお金を財(株式など)にかなり入れているのも事実だ」
日興アセットマネジメントでは、21年末の日経平均を3万2000円と予想している。さらに4000円を上積みするロジックは何か。国内では1人10万円の特別給付金が配られた結果、そのお金の多くは消費に回らず貯蓄に回っている。これが、貯蓄ではなく消費に向かうことが重要だと話す。
「飲食や旅行にお金が戻って、いま買っている財はそのまま、いままでできなかった欲求を達成していく。それが日経平均3万2000円へ向かう原動力だ」
その中では、東京オリンピックの存在は大きいと見る。オリンピックの経済自体へのインパクトは小さいが、それが消費のムードに影響するからだ。「オリンピックは正常化の象徴になる。この意味は大きい。もし延期になると、それは社会が正常化しないという意思表明になってしまうからだ」
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