住民や店主を悩ます街の「落書き」対策 ビジネスと課題解決の両立を目指す東急の狙い:アート作品を展示(1/3 ページ)
人通りが少ない場所の「落書き」に悩む人は多い。落書き対策と、ビジネスを両立するような事業に東急が取り組んでいる。対象エリアも拡大している。
人通りが少ない場所にある壁の落書きに悩む人は多い。東急は、2018年7月から店舗や住居などの未活用壁面を借用して、プロモーションやアート作品の展示などを行う「ROADCAST(ロードキャスト)」という事業を展開している。現在、160カ所で作品などの展示を行っているという(2020年12月中旬時点)。街の活性化とビジネスをどのように両立させようとしているのか。同社のプロジェクトリーダーである片山幹健氏に話を聞いた。
アーティストの作品で景観向上
ROADCASTは、東急が15年4月に創設した「社内起業家育成制度」の第4号案件。海外で、アーティストの作品を利用して街の景観を良くする活動が行われていることを片山氏が知り、「同じようなことが日本でもできないか」と考えたのが、事業化のきっかけだという。東急の本社は東京・渋谷にあるが、このエリアでは落書きに悩まされている建物が多かったことも背景にある。
当初、片山氏がビルのオーナーに「ROADCASTに参加しませんか?」と呼び掛けても、「何をやるのかよく分からない」という反応が多かったという。しかし、東急グループの物件で、実際にいくつかの企画を実施。作品が展示してある写真を見せると、「落書きの抑止になるだけでなく、街のにぎやかしになる」というメリットを理解してもらえるようになった。
ROADCASTに参加すると、運営サイドから作品の掲出範囲や方法・広告収入が提案される。掲出デザインを確認し、特に問題がなければオーナーは広告収入を得られるという仕組みだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 大学運営や受験産業に影響大 日本の「難関」大学が減る理由
日本の「難関」大学は減っていると筆者は主張する。大学運営や受験産業にも大きな影響を与える事態だ。その理由とは? - 退職時にこそ猛烈に仕事をすべき2つの理由
転職市場が活性化しており、何度か退職を経験した人も多いだろう。退職時にこそ猛烈に仕事に取り組むべきだと筆者は主張する。どういうことかというと……。 - 新成人が「欲しい車」ランキング 3位はフォルクスワーゲン、2位はBMW、1位は?
ソニー損保が新成人のカーライフ意識調査を実施。普通自動車運転免許の保有率や欲しい車が明らかに。どんな傾向があるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.