住民や店主を悩ます街の「落書き」対策 ビジネスと課題解決の両立を目指す東急の狙い:アート作品を展示(2/3 ページ)
人通りが少ない場所の「落書き」に悩む人は多い。落書き対策と、ビジネスを両立するような事業に東急が取り組んでいる。対象エリアも拡大している。
どんなプロジェクトを展開してきたのか
過去のプロジェクトの一例を紹介しよう。19年6〜9月、東急はソニーと組んで「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN(ネクストジェン)」を実施。著名な写真家である森山大道氏と都市型アート展を開催。ROADCASTに参加している建物の壁面に、森山氏の作品を一斉に展示した。広告主はソニーで、作品は同社のカメラを使って撮影したという。このように、イベントを実施する際は、「回遊性のある企画」になるよう心がけているという。普段は人通りが少ない場所でも、作品を鑑賞するために定期的に人が足を運ぶようになる。すると、落書きの抑制だけでなく防犯効果も見込める。
事業エリアを拡大
当初は渋谷区で展開していたROADCASTだが、20年12月から新宿区、中央区、港区に事業エリアを拡大した。新規エリアで行う第1弾企画として、アートブランド「HERALBONY」を展開するヘラルボニー(盛岡市)と共同企画を実施。ウォールアートからアートプロダクトを購入できるミュージアムショップ「Wall Art MUSEUM STORE」を展開した。作品のQRコードをスマートフォンなどで読み込むと、専用のWebサイトに移動して、障害のあるアーティストの作品が購入できる。売り上げの一部は、福祉施設やアーティストに還元される。福祉分野を経済的に活性化させるのが目的だ。
これらの作品の一部は、東京・銀座にある松竹保有のビルなどに展示されている。片山氏によると、地元に住む人たちで構成される「銀座デザイン協議会」などと連携し、同プロジェクトを実現したという。
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