米国、中国は堅調、欧州は後退、日本は遅行 コロナ後の経済けん引役は?(1/2 ページ)
2021年の世界経済は、当初の想定を上回って堅調に回復するかもしれない。バークレイズ証券調査部長・チーフエコノミストの山川哲史氏は、21年の世界経済実質GDP成長率を5.9%と予想し、「成長率はさまざまな予想を1%弱上回る」と話した。
2021年の世界経済は、当初の想定を上回って堅調に回復するかもしれない。バークレイズ証券調査部長・チーフエコノミストの山川哲史氏は、21年の世界経済実質GDP成長率を5.9%と予想し、「成長率はさまざまな予想を1%弱上回る」と話した。
成長率をけん引する米国、中国
成長率をけん引するのは米国だ。バイデン次期大統領が打ち出した1.9兆ドルという大きな景気刺激策が、GDPを押し上げると見る。さらにコロナ禍において住宅販売が非常に好調だ。「背景には都市部から郊外への住宅移転がある。そしてミレニアム世代が第一次住宅取得年齢に差し掛かっている。それが住宅価格を押し上げている」(山川氏)
コロナからいち早く脱却を果たした中国も、21年のGDP成長率は8.4%まで上昇するとみる。製造業だけでなく、非製造業についても回復が鮮明になってきており、景気循環としては他の主要国に1四半期先行するという見立てだ。
一方で、欧州は成長率4.1%と予想する。7-9月は経済が急回復したが、新規感染の再拡大に伴い10−12月は再びマイナス成長となった。「21年前半は、財政合意を前提としても低い成長率にとどまるだろう。欧州の失業率は、21年のほうが高まる可能性が高い」(山川氏)
日本は20年のマイナス5.3%から、21年は2.7%の成長軌道に戻ると見る。雇用が安定してワクチン接種が進めば、21年の後半には自律的な回復が期待される。ただし、他の主要国に比べて戻りは遅い。「米国は、21年前半には感染前のGDP水準まで復帰、欧州でも21年後半に実現する。日本は景気循環が遅行しており、戻るのは23年1-3月になってしまうだろう」(山川氏)
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