「週休3日」は本当に実現できるのか ネット上で評判が悪い理由:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
新型コロナの感染拡大に対応するため、自民党が 週休3日制を提言する方針であることが明らかになった。賃金がそのままで休みが増えれば、ビジネスパーソンにとって“うれしい”ニュースになるわけだが、ネット上では評判がよくない。なぜかというと……。
新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、自民党が週休3日制を提言する方針であることが明らかとなった。柔軟な勤務体系を実現する方策の一つという位置付けだが、ネット上では「コロナ対策もロクにできていない状態で、週休3日うんぬんはピントがズレている」「週休3日なんて現実的に不可能」など否定的な声が多い。休みが増えることそのものを否定する人は少ないだろうが、この案は何が問題なのだろうか。
ネット上の評判はなぜ悪い?
自民党内部で、子育てや介護、学業などに活用できるよう、週休2日制度を維持しつつ希望者が週休3日を選択できる制度について議論が進んでいることが明らかとなった。同党の一億総活躍推進本部の会合において、猪口邦子本部長が試案を提示。ヒアリングなどを行った上で、政府への提言としてまとめる方針と報道されている。
制度の詳細は不明だが、基本的に週休2日の現行制度をベースに、3日休んだ場合にはそのぶんだけ給与を削減する形を想定しているようだ。中小企業では理解が進まないことが想定されるとして、奨励金などの制度についても検討を加えるという。
週休2日をベースに、週休3日あるいは週休4日を選択できる制度は、すでにみずほフィナンシャルグループなど一部の民間企業が導入している。みずほの制度も、2日以上休むとそのぶんだけ基本給が削減される仕組みなので、試案がそのまま実現した場合には、みずほと類似の制度となるだろう。
この試案に対するネット上の反応は総じてよくないが、最大の理由は週休3日の位置付けと考えられる。一部の人は、この試案について完全な週休3日制と認識しており、机上の空論であるとの印象を持っている。一方、みずほなど民間の事例を知っている人は、この制度が単なるコスト削減に使われることを危惧しており、やはりよいイメージを持っていない。
何より、コロナ危機に対する政府の無策ぶりに批判が集まっているタイミングに、この試案を出してくる感覚は少々理解しがたい。政治家というのは、つくづく浮き世離れした存在であることを改めて認識させられる。
それはともかく、現実問題として完全な週休3日は実現可能なのだろうか。結論を言ってしまうと、今の賃金を前提にする限り、完全週休3日はほぼ不可能である。
完全週休3日制については、フィンランドのサンナ・マリン首相が政策目標として掲げるなど、欧州ではある程度、現実的なテーマとして議論されている(当初、マリン首相が週休3日を検討するという誤報があったが、その後、マリン氏は週休3日を目標として掲げることを正式に表明した)。実際、ドイツやオランダでは、制度にはなっていないものの、週休3日を実現している企業は少なくない。
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