サイゼ社長の「ふざけんな」は当然 時短要請と協力金が批判されまくるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)
当初、東京都は協力金を支払う対象を中小事業者に限定していた。しかし、大手企業から“異論”が相次いだ。不公平な仕組みを見直さなければ、都心店・大型店の崩壊は近い。
グローバルダイニングの社長が異例の声明
和食「権八」やイタリアン「ラ・ボエム」などを東京都心部を中心に37店展開する、東証2部上場のグローバルダイニング。同社は、カテゴリー上は中小企業に入るが、1月7日に長谷川耕造社長が「今の行政からの協力金やサポートでは時短要請に応えられない」などと、自らの考えを公式Webサイトで発表。緊急事態が宣言されても、商業施設にある店舗を除いて、ほぼ通常通り営業を行っている。
「権八」西麻布店は、小泉純一郎元首相と米国のブッシュ元大統領が、在職中に会談した高級居酒屋として知られる。
長谷川社長の主張は、次の通りだ。
(1)現在「緊急事態」にあるのか。日本における新型コロナの死者数は米国の約40分の1と極端に少ない。20年10月までの総死者数は、インフルエンザの感染が抑えられたため、19年と比べて約1万4000人も減少した。
(2)ロックダウンを徹底している国々で感染が下火にならず、「時短」や「休業」が効かないのは世界規模で証明されている。
(3)冬にウイルス感染症が増えるのは自然の摂理。医療崩壊とおっしゃっている国や自治体の関係者、感染症専門家の方々は何の準備もしていなかったのか。
(4)飲食で午後8時までの営業では事業の維持・雇用の維持は無理。
(1)〜(3)について、日本で感染拡大していると言っても、1日の感染者数とされるPCR検査陽性者数は、最大で7844人(1月8日)。それに対して、米国では連日約20万人が感染している。人口比で見て、明らかに日本は新型コロナがあまり流行っていない。長谷川氏でなくても、日本の医療体制がどうしてここまで脆弱(ぜいじゃく)なのか、疑問を持つ人も多いのではないだろうか。
(4)についても補足しよう。例えば、東京・西麻布にある「権八」は250席で、同じく都内にある新宿御苑と銀座の「ラ・ボエム」はそれぞれ120席と96席を有している。同社が運営するのは大型店が主流(全てではない)。1日6万円が支援されたとしても、時短営業をして維持できないのは明らかだ。
顧客の入りは、「店にもよる。現時点では正確に分からないが、SNSの投稿を見ても悪くないとみている」(同社・広報)。悪くないどころか、長谷川氏の考え方に共感した人が集まっているのか、銀座や白金の「ラ・ボエム」などは、ウェイティングが出るほどの大盛況である。
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