夏だけじゃない! アフターコロナに向けた沖縄観光の秘策は”サウナ” リゾートホテルが冬の集客に力を入れるワケ:コロナ前の観光客数はハワイ越え(4/4 ページ)
観光立県・沖縄の典型的なイメージ戦略はこれまで常に「夏の沖縄」と結びつけられてきた。そんな“常夏の島沖縄”に冬季限定のサウナ施設が誕生した。
プロ野球キャンプだけじゃない 掘り起こせ「冬の沖縄」
とはいえ、沖縄の大きな魅力である「青い海」を連想させるような、沖縄ならではの体験型のサービスにも人気が集まりつつある。
産地直送のあこや貝から取り出した本物の真珠でアクセサリーを作る体験コンテンツを提供するハッピーパール(宜野湾市)は、20年8月の開店以来「観光オフシーズン」「コロナ禍」という要素がありながらも売り上げは右肩上がりだ。ハッピーパールの藤本和宏代表は、前職で体験コンテンツを提供するプラットフォームの営業職をしており、シーズンに集客を依存しないサービスの事例を多く見てきた。「『通年で楽しめるサービス』を意識しました」という点が奏功した。
藤本代表は「冬の沖縄はすごく面白いんですよ。ホエールウォッチングや(本州とは開花時期も品種も違う)サクラなど花関係、最近だとイチゴ狩りも人気で、人も来ている印象でした」と話す。さらに「沖縄に来る観光客はリピーターが7割8割を占めていて、滞在の時点で次の来訪予定がすでに決まっている人も多いです」という。
そのようなリピーターを中心に、関心は海やマリン系だけでなく、食や文化も含めた体験系の人気が高まりつつある。「海以外の魅力は、すでに県外の人の方が探している状況です」と述べ、県民自身が沖縄の楽しさを再発見することで、新たな魅力を作り出していく大切さにも触れる。多くの県民にとっては、沖縄は「生活の場」であり「日常の場」であることから「沖縄を遊ぶ」という感覚は観光客より乏しいといえる。首里城に一度も行ったことがないという県民も決して珍しくはない。
藤本代表がお客と接する中で大切にしていることは「この人にまた沖縄に来てもらえたらいいな」という気持ちだ。「海だけが目的ではなく『沖縄に会いたい人がいるからまた行く』という人が多くなると思います。観光客向けのお店もそうでないお店も、みんなでより一層のコミュニケーションを意識していくだけで、何気ない日常の沖縄にも、観光地としての魅力が生まれると思います」
著者プロフィール
長濱良起(ながはま よしき)
フリーランス記者。元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。同年から個人事務所「XY SUDIO」代表。記者・ライター業の傍ら、フリーのTVディレクターや音楽制作業でも活動する。1986年、沖縄県浦添市出身。
著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房)がある。
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