夏だけじゃない! アフターコロナに向けた沖縄観光の秘策は”サウナ” リゾートホテルが冬の集客に力を入れるワケ:コロナ前の観光客数はハワイ越え(3/4 ページ)
観光立県・沖縄の典型的なイメージ戦略はこれまで常に「夏の沖縄」と結びつけられてきた。そんな“常夏の島沖縄”に冬季限定のサウナ施設が誕生した。
19年はハワイ超え! 進む月別観光客数の平準化
日本全体を見た場合、冬のコンテンツは地域によって充実しているものの、総じて“ナイトコンテンツ”が弱い傾向にあるという。一方、海外ではカジノやミュージックバーなど多くのナイトコンテンツがあり、インバウンドの取り込みや滞在日数の長さなどで国際的な競争力をつけるための課題の一つとされている。
先述した通り、沖縄の典型的なイメージ戦略はこれまで常に「夏の沖縄」と結びつけられてきた。しかし近年、季節を問わず沖縄を楽しんでもらおうと、官民共に「冬の沖縄観光」のコンテンツ開発を進めており、アフターコロナやウィズコロナ時代の観光客誘致につなげる動きが顕在化している。
コロナ禍に突入する前の2019年まで、沖縄を訪れる国内外の観光客数は増加の一途をたどっていた。沖縄県の資料によると同年は過去最高の約1016万人を記録。これはハワイへの観光客数を上回る数字だ。日韓関係の悪化で韓国からの観光客が前年から3割程度減少したものの、全体としての伸び率は3.2%を維持した。
月別に見ると、最多月は8月で約102万人、最小月は1月で約75万人だ。これと同様に13年の資料によると、最多月は8月で約71万人、最小月は1月で約43万人だ。8月を100%とした時の1月の数値は、13年は60.5%だったが19年は73.5%と、この2つの年の比較では最多月と最小月のギャップが埋まり、平準化が進んでいることが分かる。
沖縄県の観光推進を手掛ける県の外郭団体・沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の担当者は「季節に関わらず、分散して安定的に訪れてもらえるような取り組みを進めています。例えば秋季は、夏季ほど混雑していないことを利用して、アクティブシニアにゆっくり観光してもらったり、冬季は(暖かい沖縄で)ゴルフを楽しんでもらったり、時期に応じた訴求を続けてきました。ダイビングについては、冬の方がプランクトンなどの浮遊物が少なく、透明度が高いため、本格的なダイバーは進んで冬の沖縄の海を楽しんでいます」と話す。
OCVBの下地芳郎会長は、年始の「沖縄観光新春の集い」で、観光業界や行政の関係者が一堂に会する中、ウィズコロナ時代と関連付けながら「デジタル化推進」や「質の強化」などに触れ「今後は『以前の観光』に戻るのではなく、社会の変化に対応した『新しい観光、強い観光』の実現に向けて、官民が一致団結することが必要です」と言及した。ワーケーションの推進にも力を入れるとし「長期滞在型観光推進と新たな企業誘致の観点から、県内で取り組む関係者間の連携を強化するための体制を強化し、『沖縄型ワーケーションモデル』の構築に取り組みます」とも述べている。
これまでの「青い海、青い空」にある意味では頼っていた沖縄観光は、総合力を増すことで転換の時を迎えつつある。
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