オール電化やタワマンを見れば分かる EV一辺倒に傾くことの愚かさとリスク:高根英幸 「クルマのミライ」(1/7 ページ)
クルマの電動化に関する議論が過熱している。しかしリアルな現実、そして近い将来の実現性について情報をキチンと分析した上で議論をすべき時だ。ここで考えるのはモーターやインバーター、バッテリーの性能の話ではない。そんなことより根本的な問題が待ち構えているのである。
クルマの電動化に関する議論が過熱している。欧州や北米、中国での純エンジン車販売規制によって、従来のCAFE規制(企業内平均燃費規制=企業ごとに販売車の平均燃費を規制する法律)をクリアするためのEV導入から、さらに進んだ電動化への具体策が求められているからだ。
実際、欧州や中国ではEVの販売比率が急速に高まっている。それに対し日本でも、日産や三菱に続いて、ホンダ、トヨタ、マツダがEVを出しているが、それらは販売目標も少なく、まだ現時点では飛躍的にEVの比率が高まるような気運は見られない。
ちなみに90年代にも日本ではEVブームが起こり、トヨタはRV4のEVを発売し、日産はアベニールやプレーリージョイをEV化してリース販売した(主に電力会社向けではあったが)こともあった。しかしそれは一過性のブームで終わり、やがてガソリン改質型の燃料電池車へとムーブメントは移り、現在のFCVへとつながっている。
同じようなことは、かつてロータリーエンジンでも水素エンジンでも起こっていた。自動車メーカーが新しい技術やゼロエミッションに挑戦し続けるのは、生存競争でもあり、存在意義となる使命でもあるからだ。企業のアイデンティティを何によって確立するかはいろいろだが、自動車メーカーにとって環境問題は企業イメージに与えるインパクトも大きい。
そういった意味では日産の電動化戦略はまったく正しい。「やっちゃえ日産」とCMで高らかに宣言してEVや自動運転を強調したのは、純エンジン車でもハイブリッドでも他メーカーに比べ優位性を見出せなかったからだ。
それでも、結果的にリーフの販売が日産の業績に貢献したかといわれれば微妙だ。しかし、EVの先駆者たるイメージはしっかりと浸透させている。
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