2015年7月27日以前の記事
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オール電化やタワマンを見れば分かる EV一辺倒に傾くことの愚かさとリスク高根英幸 「クルマのミライ」(2/7 ページ)

クルマの電動化に関する議論が過熱している。しかしリアルな現実、そして近い将来の実現性について情報をキチンと分析した上で議論をすべき時だ。ここで考えるのはモーターやインバーター、バッテリーの性能の話ではない。そんなことより根本的な問題が待ち構えているのである。

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 そんな中、日本政府も2050年にカーボンニュートラル達成という政策の中で、クルマの電動化を進めて30年代半ばには100%の電動化を実現するという目標を掲げた。CAFE燃費の緩さ(欧州とは違い罰則はない)同様、回りを見て足並みをそろえた程度の印象でしかないが、電動化の中核にあるのがEVであることは間違いなさそうだ。

 30年にピュアEVの販売比率はどれほどになるのか、それは50年にはほぼ100%になるのか。関心を持っている人の多くはそう考えることだろう。単純に考えれば、カーボンニュートラルにするにはEVに頼るしかないだろうからそんな意識になるのだろうが、一足飛びにEV比率を高めようというのは、まったく現実的ではない。

 従来は、35年においてもクルマの動力源の主力はICE(内燃機関=ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど)であり、新興国需要の高まりもあって純エンジン車の占める割合は過半数を占めるというのが、自動車業界アナリストたちの市場予測だった。

 しかしこのところ各国から相次いで表明された純エンジン車の販売禁止令は、そういった市場の勢力図を簡単に覆してしまう材料だといえる。しかし、まだ業界アナリストたちの中では、急速に高まっているエンジン車販売禁止政策の影響を読み切れていないようだ。30年までには軌道修正もあると、楽観している向きもあるが、これは危険な考えだろう。

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