新型コロナ関連の経営破綻、1000件に 飲食業が2割弱占める:客数減、時短営業の打撃大きく
東京商工リサーチによると、新型コロナウイルス感染拡大に関連した経営破綻が全国で累計1000件に達した。特に飲食業への打撃が大きく、全体の2割弱を占めた。幅広い業種で先を見通せない経営環境が続きそうだ。
東京商工リサーチは2月2日、新型コロナウイルス感染拡大に関連した経営破綻が全国で累計1000件に達したと発表した。特に飲食業への打撃が大きく、全体の2割弱を占めた。2度目の緊急事態宣言は10都府県で延長の見通しとなり、幅広い業種で先を見通せない経営環境が続きそうだ。
最初に新型コロナ関連破綻が発生した2020年2月から1年で1000件に達した。破綻件数の推移をみると、特に秋以降に増加し、9〜12月は毎月100件を超えた。
業種別では、飲食業の182件が最多。休業や時短営業の要請、客数の大幅な減少などにより業界全体で大きな打撃を受けた。また、百貨店の休業や外出自粛による需要縮小で影響を受けたアパレル関連(製造・販売)が91件、事業計画の見直しを余儀なくされた建設業が83件、旅行需要の縮小や移動自粛による影響が大きい宿泊業が62件と続いた。
新型コロナの影響は幅広い業種に及んでおり、「売上消失で業績が悪化し、給付や助成金、貸付やコロナ特例リスケなどの各種支援を受けながらも、経営を維持できない息切れ型の破綻のケースもみられた」(東京商工リサーチ)という。
負債額が判明しているのは980件。そのうち、最多が「1億円以上5億円未満」で338件。34.4%を占めた。1億円未満が515件と約5割を占めた一方、100億円以上の大型倒産も5件発生した。
また、新型コロナ関連破綻は47都道府県全てで発生している。最多が東京都の247件、最少は山梨県の1件。9都道府県で30件以上発生し、5件未満にとどまるのは9県だった。
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