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飲食店の多くは苦戦しているのに、なぜキッチンカーは“右肩上がり”なのか水曜インタビュー劇場(アツアツ公演)(4/6 ページ)

新型コロナの感染拡大を受けて、飲食店が苦戦している。2020年の倒産件数は過去最高となったわけだが、その一方でキッチンカーが増えていることをご存じだろうか。キッチンカーと空きスペースをマッチングしているSHOP STOPに登録している店はぐんぐん伸びていて、その背景に何があるのかというと……。

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売り上げを伸ばす人の傾向

土肥: キッチンカーを運営して、うまくいく人の傾向はありますか?

向: 目的がハッキリしていることが重要かなあと。ハッキリしていなくても、最終的に目標を整理することは欠かせません。たくさんの人とご相談していて、目的がハッキリしていないケースが多いんですよね。「あれもやりたい、これもやりたい」といった感じで。いきなりあれもこれもするのは難しいので、やはり目的はハッキリとしていなければいけません。


お弁当だけでなく、野菜を販売している店も

土肥: それは「カレーもやりたい、ラーメンもやりたい」といった話でしょうか?

向: いえ、そういう話ではありません。例えば、飲食店を経営されている人で「テストマーケティングでやってみたい。でも、収益もきちんと確保したい」といった声があります。キッチンカーは低投資でできるので、「とりあえずやってみよう」というケースが多い。でも、とりあえずやってみようと思っても、どこに出店すればいいのかといった問題が出てきます。

 繰り返しになりますが、やはり目的はハッキリさせなければいけません。キッチンカーの事業を大きくさせたいのか、将来的にはリアルの店舗を構えたいのか、子育てをしているので週2〜3日やりたいのか。目的が整理されていないと、どこに出店するのか、どういった料理を提供するのか、といったことを落とし込むことが難しいんですよね。

土肥: 手軽に始められるので、同じような落とし穴にハマるケースが多いようですね。ところで、人気のある料理はあるのでしょうか?

向: いえ、ジャンルはあまり関係ないですね。誤解を生む表現になるかもしれませんが、いわゆる“ヘンタイ”の人が提供する料理は人気が高い傾向があります。


SHOP STOP事業を担当している向剛志さん

土肥: ヘンタイ? どういう意味でしょうか?

向: なにか一つの料理に対して、めちゃくちゃこだわる。例えば、クレープのことをずっと考えて、ずっとつくっているとか。突き詰めている人は、強いなあという印象があります。一方、器用になんでもつくることができる人の料理は、売り上げが苦戦することがあります。お客さんがその店で買う動機は何か。店のオーナーがその料理にめちゃくちゃこだわっていて、うるさいくらいに語ってくる。しかし、食べてみると、おいしい。熱量においしさが加われば、人にすすめたくなりますよね。

土肥: 幕ノ内弁当のようなスタイルは、難しいわけですね。

向: キッチンカーの場合、同じ場所でも、毎日違う店がオープンしていることが多い。そうすると、どうなるのか。テレワークで週に数日しか出社しない人は、このように言っていました。「ランチにあの料理を食べたいから、その店が出店している曜日に出社している」と。同じ立地にもかかわらず、人気店とそうでない店だと、売り上げが2倍、3倍ほど違ってきています。

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