飲食店の多くは苦戦しているのに、なぜキッチンカーは“右肩上がり”なのか:水曜インタビュー劇場(アツアツ公演)(5/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、飲食店が苦戦している。2020年の倒産件数は過去最高となったわけだが、その一方でキッチンカーが増えていることをご存じだろうか。キッチンカーと空きスペースをマッチングしているSHOP STOPに登録している店はぐんぐん伸びていて、その背景に何があるのかというと……。
惣菜を販売したところ、予想以上に売れた
土肥: 新型コロナの感染拡大を受けて、これまで主戦場だったオフィス街だけでなく、マンションにも展開したわけですが、そこでもデータ活用は進めているのでしょうか?
向: マンションでの展開はこれまでほとんどやってこなかったので、データはそれほど蓄積されていません。というわけで、いまはデータよりもリアルを重視しています。現場に足を運んで、どんな状況になっているのか。出店している人にヒヤリングなどを行って、今後どう戦っていけばいいのかなどを考えなくてはいけません。
先ほども申し上げましたが、コロナ前はマンションで展開することは難しかった。しかし、いまは場所によって夜も営業しています。このような話をしても、「いやいや、夜に営業しても売れないでしょ。家で晩ご飯をつくるんだから」と思われたかもしれませんが、家で一日中仕事をして、夜に仕事が終わる。そこから晩ご飯をつくるって大変ですよね。「炊飯器でご飯は炊くので、おかずを購入したい」といったニーズは高く、あるキッチンカーで惣菜を販売したところ、予想以上に売れました。
また、オフィス街で週末営業しても苦戦するところが多かったのですが、マンションは違う。在宅率が高いこともあって、週末は好調なんですよね。このようにやってみて分かってきたことはたくさんあるので、これからどんなことができるのか、考えながらやっていきたですね。
土肥: ふむふむ。最後の質問です。登録数が1000店を超えたわけですが、今後は1500店、2000店と目指していくのでしょうか?
向: 首都圏で試算したところ、2000店ほどまで増やせるのではないかと思っています。ただ、出店数の目標は掲げていなくて、店の質を高めることにチカラを入れているんですよね。
土肥: 「この味はもっとこーしたほうがよいよ」といったアドバイスをするのですか?
向: いえ、そうではなくて、開業前に何かできないかと考えています。例えば、「キッチンカーをやれば行列ができるので。できるだけ速く出せるメニューのほうがいい。じゃ、カレーがいいかな」といった考えの人が多いんですよね。もちろん、提供スピードは遅いよりも速いほうがいい。それにしても、なぜ多くの人が「速い」ことにこだわっているのか。ちょっと調べたところ、キッチンカーを扱っているクルマ屋さんの影響を受けていることも分かってきました。
土肥: クルマ屋さん? どういう意味でしょうか?
関連記事
- お客の「肘」を見ただけで、なぜ塚田農場の売上は伸びたのか
店内にカメラを設置して、その映像をじーっと見る。スタッフなどの動きを分析して、生産性向上を支援している会社がある。「トリノ・ガーデン」だ。具体的にどんなことをしているのか。同社の社長に話を聞いたところ……。 - 小さくなったカセットコンロ「タフまるjr.」は、なぜ2倍ペースで売れているのか
岩谷産業のカセットコンロ「タフまるjr.」が売れている。8月に発売したところ、想定の2倍ペースで売れているわけだが、なぜ消費者にウケているのか。サイズは小さいのに……。 - スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか
スーツに見える作業着をご存じだろうか。2018年、水道工事を行っている会社が発売したところ、売れに売れているのだ。多くのアパレルが苦戦している中、なぜこの商品はヒットしているのか。グループ会社の社長に話を聞いたところ……。 - 売上5倍! 経営難に陥っていたキャンプ場を、どうやって再生させたのか
キャンプ場が盛り上がっている。現在は「第二次ブーム」でたくさんのお客が詰めかけているが、その一方で経営が苦しいところも少なくない。そんな中で、赤字に陥っていたキャンプ場を再生した会社がある。どうやって再生させたのか、会社の専務取締役に話を聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.