居酒屋の倒産、20年度は過去最多が確実に 零細企業で「販売不振」響く:10カ月間で145件
東京商工リサーチによると、2020年度(20年4月〜21年3月)の居酒屋の倒産件数は、1月までの10カ月間で145件に達した。19年度(149件)を3月までに上回る可能性が高く、過去最多の更新が確実になった。
東京商工リサーチは2月8日、2020年度(20年4月〜21年3月)の居酒屋の倒産件数について、1月までの10カ月間で145件に達したと発表した。これまでで最多だった19年度(149件)を3月までに上回る可能性が高く、過去最多の更新が確実になった。新型コロナウイルス感染拡大が居酒屋業態に及ぼす影響は長期化しており、特に小規模な企業で事業を継続できないケースが増えている。
20年4月〜21年1月の倒産件数は、過去最多だった19年度の同時期と比べても16.9%上回る。4月以降、緊急事態宣言に伴う休業や時短営業を余儀なくされたり、企業のテレワークが広がったことで需要が縮小したりと事業環境が悪化。1度目の緊急事態宣言解除後も、客足が元に戻らないまま、第2波、第3波の影響を受けている。
倒産の原因は「販売不振」が前年同期比17.5%増の127件で最多だった。全体の約9割を占めており、外出自粛などで客足が遠のいたことによる影響を受けた倒産が多かったようだ。
資本金別では「1000万円未満」が136件、負債額では「1億円未満」が131件、従業員数では「10人未満」が136件。それぞれ全体の9割以上を占め、小規模な企業の倒産が多いことが分かる。また、倒産の形態は、消滅型の「破産」が136件で9割以上を占めた。
東京商工リサーチは「国や自治体は貸付や給付金、助成金、協力金などの支援策を相次いで実施した。だが、居酒屋は小・零細規模が多く、自己資金も脆弱で休業や時短営業による売上消失は資金繰り悪化に直結している」と解説している。一部地域の2度目の緊急事態宣言もまだ解除されず、体力のない事業者にとっては事業継続が困難な状況が続きそうだ。
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