コラム
パワハラと指導の境界線はどこにあるのか 旭川医大問題を考える:混乱の理由(2/4 ページ)
2020年6月、パワハラ防止法こと「改正労働施策総合推進法」施行された。パワハラケーススタディとして、話題となっている旭川医大を例に対応を考えてみる。
パワハラ認定
すでに古川氏から大学へは解任への撤回を求める再調査要請が出されており、進捗はまだ明らかになっていません。私がハラスメント問題に取り組む際に留意しているのは、こうしたさまざまな土壌や人間関係、感情が入り交じった混沌をいかに簡素化し、問題点を抽出できるかだと思います。
改正労働施策総合推進法が成立する前から、厚労省はパワハラの定義を行っていました。いわゆる「パワハラ成立の3要件」です。「職場における優越的な関係を背景とした言動」「必要かつ相当な範囲を超えておこなわれること」「雇用する労働者の就業環境が害されること」の3要件を「全て満たす」ことで成立します。
セクハラは被害者の感覚が重視されますが、パワハラは被害を受けたと言うだけでは成立しない点が重要です。それゆえ証拠に基づく客観的判断が、組織管理には何より重要となります。パワハラ研修ではこの点を、管理者も社員もしっかり理解してもらう必要があります。
フライデーデジタルの報道によれば、大学側の説明において、古川病院長に吉田学長が「お前が辞めろ」と発言したことは病院の患者受け入れ体制、職員を守るためでパワハラにあたらないと、旭川医大役員会議が判断したという説明に、病院関係者は「パワハラかどうかは受けた側が判断すること」というコメントが出ていますが、これは残念ながら正しくないのです。
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