コラム
パワハラと指導の境界線はどこにあるのか 旭川医大問題を考える:混乱の理由(3/4 ページ)
2020年6月、パワハラ防止法こと「改正労働施策総合推進法」施行された。パワハラケーススタディとして、話題となっている旭川医大を例に対応を考えてみる。
旭川医大病院事件をどう見るか
吉田学長の強権的な発言が問題だと報道されています。コロナ患者受け入れ枠を増やしたいという古川病院長に対し「(受け入れを増やしたければ)お前が辞めろ」と発言したとの報道もあります。
めんどうなのは一連の内容が学長と病院長だけでなく、学内会議という組織を通じて病院長解任が決まっている点です。学長が一人で「クビだ!」と言ったところで即座に解雇はできません。しかし正式な学内会議として決定された以上、解任は成立していると考えられます。問題はその会議でも解任理由が情報漏洩や学内混乱という、ある意味「言った者勝ち」状態で証拠が提示されていない点です。
さらに日頃の学長の言動が著しく反発を呼び、長期に渡る学長在任による個人崇拝的な権威性があるのだろうと想像します。企業でもカリスマ的立場の幹部や創業者、社長自らがハラスメントに及んだ際に、企業内組織に自浄能力を発揮するのはきわめて困難です。
しかしながら、かつてならもみ消せたハラスメントも、今やハラスメント防止法や裁判だけでなく、SNSという強力な武器ができました。旭川医大病院事件もマスコミからネットに話題は拡散し、ネット上で大きな関心を呼んでいます。ハラスメント関係記事は反響が大きく、特にこのような独裁的な権威性を持つ事物に対しては炎上的な反応が起こるのが普通です。今、旭川医大病院はここにあるといえます。
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