「GO TO トラベル」を再開するなら、休祝日の前当日は対象外とせよ:懸念の声も(2/3 ページ)
地方経済の落ち込み回復に果たした効果と、感染拡大の要因の一つになった可能性と功罪相半ばしたGO TO トラベル。その再開に向けては一つの条件を付与すべきだ。
全国の観光地がGO TO トラベルを利用した客でごった返していた。しかしよく事態を見ると実は、週末や祝日の前・当日だけが異常に人が溢れていた(人気観光地では通りのあちこちで、それこそ「他人と肩と肩がぶつかりそうな」状態だった)が、それ以外の日は「そこそこ」でしかない、という観光地が意外と多かったのだ。こうした状況を再度繰り返すことは健全ではない。
利用客は、施設内はもちろん戸外でも人混みによる「密」を警戒せざるを得ないので、十分にリラックスできない。ましてや本当に感染してしまえば目も当てられない。ホテルや旅館、土産物屋や飲食店などの現地の観光事業者は、週末や祝日の前・当日だけに客足が偏るので、余計な人件費の出費を余儀なくされるのに、月を通しての収入は大したことがないという残念な結果に終わる。それでも週末や祝日の前・当日に観光地を訪れた人は待ち時間が長くて十分なサービスを受けられず、不満を感じてしまう。誰にとっても望ましくないのだ。
休祝日の前日・当日をGO TO トラベルの対象外とすることで何が変わると期待されるのか。ズバリ、客足が分散されるのだ。スケジュールに自由度がある客は何としても平日に行こうとするので、どの観光地でも来客数がある程度平準化されると期待されるのだ。
すると先ほど挙げた「不健全な状態」がかなり改善されるだろう。観光事業者は本来の従業員だけで週を通して対応でき、利益を生みやすくなる。(臨時の手伝いが不要になるので)サービス水準は底上げされ、客の満足度は上がり、しかも感染リスクも抑えられる。いいことづくめだ。
しかも「巣ごもり」に飽きている反動で旅行に行きたい人々は多く、どうしても平日に都合がつかない人たちは結局「すべて自腹で」でも観光にはいくだろう(GO TO トラベル利用時より客室のランクは落とすかもしれないが)。GO TO トラベルによる人混みに恐れをなしていた人たちも、「少しは平準化するのならば」と重い腰を上げる可能性が出てくる。要は全体的に需要が底上げされる可能性がかなりあるのだ。
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