パソナの淡路島移転は「島流し」なのか? 移住した副社長が感じた“思った以上のポテンシャル”とは:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/6 ページ)
パソナグループは、東京にある本社機能の一部を淡路島へ移転させている。移住した副社長に環境や社員の働き方がどう変わったのか聞いた。副社長は思った以上のポテンシャルを感じている。
山海の幸に恵まれているのが強み
淡路島は瀬戸内海東部に浮かぶ島だ。面積は、瀬戸内海では最大の600平方キロメートル弱で、シンガポール島とほぼ同じだ。
全域が兵庫県に属していて、平成の大合併により今は3つの市に分割されている。北から、淡路市(人口は約4.3万人)、洲本市(同約4.5万人)、南あわじ市(同約4.6万人)である。
島の中心は洲本だが、最近は東海岸の特に北側が発展してきているようだ。
1995年の阪神・淡路大震災により、淡路市(旧津名町、旧北淡町、旧一宮町)の一部で震度7に達しており、甚大な被害を受けた。当時の淡路島の人口は16.3万人ほどあったが、3万人ほど減っており、過疎化が進んでいる。都会の大学に進学した人が、地元に戻らずそのまま就職してしまう傾向が、淡路島でも続いている。
一方、明石海峡大橋架橋によって、淡路島と神戸・大阪との交通の便が格段に改善。京阪神では、淡路島直送の新鮮な農作物を売りにした飲食店が増えている。特産のタマネギはもちろん、レタス、ホウレンソウ、トマト、ニンジンなど多くの野菜が島内で栽培されている。東京近郊で三浦半島や房総の農作物が喜ばれるのと同様に、淡路島でも大都市近郊農業のビジネスチャンスが広がっている。
淡路島は四方を海に囲まれているので、もちろん海産物も豊富だ。北端は、明石海峡。対岸の明石の名物である鯛や蛸は、淡路島でも獲れる。また、南端は鳴門海峡で、対岸である徳島県鳴門の名産、ワカメも淡路島でも採れる。明石と鳴門の両方の名産が地のものとして存在している。
畜産は、養鶏、イノブタを含む養豚も行われているが、淡路ビーフは別格の位置付けだ。世界的に人気がある神戸ビーフや特産松坂牛の約65%が、実は淡路島で生まれた和牛だという。
このように、山海の幸に恵まれているのが、淡路島の強み。ただし、これだけの恵まれた条件がありながら、雇用の創出が足りない。そこに、パソナは目を付けたというわけだ。
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