パソナの淡路島移転は「島流し」なのか? 移住した副社長が感じた“思った以上のポテンシャル”とは:アフターコロナ 仕事はこう変わる(5/6 ページ)
パソナグループは、東京にある本社機能の一部を淡路島へ移転させている。移住した副社長に環境や社員の働き方がどう変わったのか聞いた。副社長は思った以上のポテンシャルを感じている。
パソナが目指す雇用創造業
人材派遣の会社として著名なパソナであるが、意外にも純然たる人材派遣の分野の売り上げは全体の50%以下だ。人材派遣は依然として重要なビジネスではあるが、軸足は雇用創造の分野に移ってきている。今、同社が目指しているのは、雇用創造業としての確固たる地位の確立だ。
東日本大震災の際にも、岩手県陸前高田市から、就労創出支援事業を受託。12〜15年、復興を担う人材を全国から募集して、職業実習を行い、70人の就労を支援。そのうち8割が地元企業に就職した。
そうした雇用創出事業の農業版が、「チャレンジファーム」である。08年から、就農希望者や農業で起業したい人向けに、淡路島でスタートした。同社プレスリリース(10年4月27日付)では、6人が参加していた。淡路島では、人口減と少子高齢化によって広大な休耕地が広がっている。そこを再度開墾して、無農薬の有機栽培で安全・安心な農作物を育てようというわけだ。今後は、さまざまなキャリアを同時に積むのも必要という考えで、オフィスワークをしながら就農もするようなワークスタイルも探っていく。
また、コロナ禍で音楽家が演奏する場が激減しており、生計が立てられなくなっている。そうしたクラシックやジャズの演奏家、声楽家、バレリーナたちを支援する事業を淡路島で行っている。
淡路島には、パソナが運営するレストラン、レジャー施設などが点在している。日本初の体験型エンターテインメント・アニメパーク「ニジゲンノモリ」、ハローキティとコラボした淡路島の食材を使う中華レストラン「ハローキティスマイル」、淡路ビーフなどを提供するビーチサイドのレストラン「オーシャンテラス」などといった具合だ。このような施設で働きながら、ピアノを演奏してもらったり、歌ってもらったりしている。現在は約20人の音楽家を雇用しているが、追加募集をしていく予定だ。
当初、東京から淡路島に異動するのは、総務、経理、人事など事務職に限ると考えていた。しかし、営業職でもオンラインで商談する「インサイドセールス」が広がっており、働く場所はどこでも構わないということが分かってきた。従ってインサイドセールスを行う社員も、淡路島移転の対象者となる見通しだ。
関連記事
- 淡路島で週30時間働いて給与は月額16万6000円 パソナ、緊急雇用「1000人」計画を発表
パソナグループはコロナの影響で働く場所を見つけられなかった若者の支援策を打ち出した。最長で2年間、契約社員として淡路島で働く。どういった内容なのか。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 首都圏の「借りて住みたい街」「買って住みたい街」ランキング 2020年の結果は?
2020年における首都圏の「借りて住みたい街」「買って住みたい街」ランキングをLIFULLが発表した。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」に掲載された物件の問い合わせ数から算出した。コロナ禍の影響は? - 2021年「住みたい街ランキング」関西版と中部版 圧倒的な強さを見せつけたのは?
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営するLIFULLが住みたい街ランキングを発表した。関西版と中部版の結果は?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.