「女性社外取締役」が増えると、男女格差が広がる皮肉なワケ:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
オリパラ組織委員会の会長人事の議論が盛り上がるなか、民間企業では着々と女性の経営参画が進んでいる。不二家が女優の酒井美紀さんを社外取締役に大抜てきしたが、筆者の窪田氏は「女性社外取締役が増えれば増えるほど、男女格差が広がっていく」という。どういう意味かというと……。
残念な構図
日本企業の男女格差を本気で解消したいのなら、女性も男性と同じようにプロパー社員から経営に関わる人の比率を上げなくてはいけない。男性と女性をちゃんと格差なく採用して、出産や育児で仕事を辞めることなく自社の中でキャリアや経験を積んでもらい、管理職や取締役になってもらうという流れだ。
しかし、これを企業がやるのはなかなか大変だ。福利厚生などで女性が働きやすい環境を整えるのはもちろん、女性よりも仕事のできない男たちの「嫉妬」から守るなどのメンタル面のサポートもしなくてはいけないからだ。
そういう会社にとっては面倒くさいことをやらず、「女性役員比率」をあげて一見、ダイバーシティを推進しているように世間にアピールできるのが、「女性社外取締役」なのだ。つまり、これまで通りの「男ムラ」の秩序を守りたいおじさんたちが都合の悪い話をウヤムヤにするため、能力の高い女性を組織外から引っ張ってきて、うまく「利用」しているのだ。
こういう残念な構図は、実は最近、運悪く世界中に悪目立ちしてしまった森喜朗氏にも当てはまる。国際的な批判にさらされた例の発言を、スポニチ(2月4日)の全文掲載から引用しよう。
「女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います」
「女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります」
「私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます」
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