JALが推進する「ワーケーション」 旅行先で仕事をするだけじゃない”真の活用法”とは:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/5 ページ)
新型コロナウイルス感染拡大により、在宅勤務やテレワークなど新しい働き方が広まっているが、コロナ禍前から働き方改革の一環として「ワーケーション」の導入に力を入れてきた企業がある。それが日本航空(JAL)だ。なぜワーケーション導入に至ったのだろうか。
会社主導でワーケーション企画やプランを提案
東原氏は「管理職層はなかなか休みが取れないため、ワーケーションを利用して、長い家族旅行に行くなど活用している印象だった。一方若手社員は、休暇中は『フルで休みたい』という印象で、ワーケーションをうまく活用できていなかった」と当時を振り返る。
そこで同社は幅広い層に浸透させるため、家族連れで参加できる企画や、宿泊施設をゲストハウスにして地域の人との交流を図るプランの導入を開始したという。
その1つの取り組みとして、富士ゼロックス鹿児島が企画する「徳之島ワーケーション実証実験」に参加。18年11月下旬から12月上旬にかけて、社員やその家族など20人が3泊4日で徳之島町を訪れワーケーション勤務を行うというモニターツアーを実施した。
このような取り組みの結果、ワーケーションの活用が浸透。18年度の利用者が174人だったのに対し、20年度は12月までに約4倍となる688人が取得するまでになった。また、徳之島での実証実験は同社にとって想定していなかった成果もあったという。
「地域や離島に行くことで、地域住民から『あなたたちがいなかったら私たちは本州に行く足がなくなってしまう。飛行機を飛ばしてくれてありがとう』という声を聞くことができた。東京のデスクワークをしていると、公共交通機関で働いているという自覚が少し薄れてくることが多いが、このような機会があることで、航空会社としてお客様に選んでいただけることとは何かをより意識するようになった」(東原氏)
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