あわあわあわ! なぜアサヒビールの「生ジョッキ缶」から、泡が次々に出てくるのか:水曜インタビュー劇場(クレーター公演)(2/6 ページ)
缶のフタを開けると、泡が自然に発生するビールが登場する。アサヒビールは4月に「生ジョッキ缶」を発売。缶ビールといえば泡がたたない構造をしているのに、なぜこの商品は泡が出てくるのか。同社の担当者に開発秘話を聞いたところ……。
開発のきっかけ
土肥: いやはや家飲みに不満を感じている生ビール党にとっては、夢のような商品が登場しましたね。その名は「生ジョッキ缶」。通常の缶よりも大きなフタを開けると、外側から泡がじわじわ生まれてくる。液体の表面が泡だらけになるまで、10秒ほど。その後も泡が増えていって、3センチほどの高さになる。このような商品は「日本初」だそうですが、海外にはあるのでしょうか?
中島: 世界にはたくさんのビールが発売されていて、当社ですべて把握するのは難しい状況なんですよね。調査したところ、なかったので“世界初”なのかもしれませんが、ひょっとしたらあるかもしれませんので、「日本初」としました。
土肥: そもそもどういったきっかけで、泡が出てくる缶ビールを開発することになったのでしょうか?
中島: 10年ほど前から、家飲みを楽しむ人が少しずつ増えてきました。節約志向などが高まったこともあって、第三のビールのような低価格な商品が増えてきましたし、100円で購入できるチューハイもたくさん出てきました。ただ、家飲みをしている人も不満を感じているのではないか? 2020年9月に実施した調査になりますが、不満は何か調査したところ「飲食店のような本格的な生ビールを味わえない」と答えたのは63.5%、「居酒屋の雰囲気が家では味わえない」は63.5%いました。
実際、「自宅で居酒屋のような生ビールが飲めたら、家飲みが一段と楽しくなりそう」(20代男性)、「外食時の生ビールのおいしさが、自宅でも味わえるとうれしい。そんなことができたら、ワクワクする」(30代女性)といった声も多い。開発が始まった4年前にも同じような不満を感じている人が多いのではないかという仮説を立て、プロジェクトがスタートしました。
土肥: この商品の開発を始めたのは4年前だったのかもしれませんが、歴代の担当者も「生ビールような缶ビールをつくることはできないかなあ」と考えていたものの、「技術的に難しいなあ」とあきらめていたのではないでしょうか?
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