ブラックジョークでは済まない「ハロワ職員1万人雇い止め」問題 非正規雇用の「使い捨て」を解決するために求められるもの:不本意型の非正規雇用を減らすには(1/5 ページ)
ハローワーク職員の「雇い止め可能性」が一部新聞で報道され、話題になった。一部では非正規雇用を単なる「調整弁」や「使い捨て」としてしまっているケースもあるが、今後はそうした不本意型の非正規雇用を減らしていく必要がある。では、具体的に、どうすればいいのか。
非正規雇用と呼ばれる働き方に関する問題は、これまでもさまざまな形で指摘されてきました。総務省が発表している労働力調査によると、2020年10〜12月における「非正規の職員・従業員」の平均人数は2109万人。役員を除く雇用者全体の実に37.4%を占めています。雇用者全体の4割近くが非正規となっていることから、非正規雇用に関する問題に多くの人が関心を寄せるのは必然だといえます。
こうした中、2月15日に京都新聞が『ハローワーク職員1万人以上、雇い止めの可能性 「相談乗った翌日から失業者、ブラックジョーク」』と題するニュースを報じました。
記事によると、年度末にハローワークの労働相談員1万人以上が雇い止めされる可能性があるとされています。つまり、3月31日まで求職者の労働相談に乗っていた職員が、翌日からは相談に乗ってもらう側になるかもしれないということです。
契約に基づいてのことだから仕方ない、という考え方もあるのかもしれませんが、やるせないという印象を受ける人は多いはずです。そして、労働相談員としてはそのような環境下で職務を進めるのは心情的にやりづらいはずです。
ただ、非正規と呼ばれる雇用形態にはさまざまな種類があり、その働き方を選ぶ人の動機もそれぞれです。中には、あえて期間限定で働きたいと考えている人もいて、雇用契約の満了によって仕事から離れることがマイナスではなく、むしろ自分にとって都合が良いという場合もあります。
つまり、非正規雇用で働く人の中にも本意型と不本意型が存在するということです。
この、本意と不本意の違いはどこから生まれてくるのでしょうか。その要因となっているのは、さまざまな条件における「ズレ」と、そのズレによって生じる「ジレンマ」です。
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