ブラックジョークでは済まない「ハロワ職員1万人雇い止め」問題 非正規雇用の「使い捨て」を解決するために求められるもの:不本意型の非正規雇用を減らすには(2/5 ページ)
ハローワーク職員の「雇い止め可能性」が一部新聞で報道され、話題になった。一部では非正規雇用を単なる「調整弁」や「使い捨て」としてしまっているケースもあるが、今後はそうした不本意型の非正規雇用を減らしていく必要がある。では、具体的に、どうすればいいのか。
雇用は途切れるのに、仕事のニーズは残っている
先ほどの記事で紹介した労働相談員の場合、3年という区切りとともに労働相談の必要性自体も消滅するのであれば、矛盾はないはずです。問題は、雇用契約は3年で途切れるのに労働相談員(というポジション)の必要性は継続しているというズレにあります。
労働相談員として3年間働いてきた側からすると、ずっとそのポジションで働き続けたいと考えていて、かつポジションがなくなるわけでもないのに、3年が区切りという理由だけで強制的に仕事を奪われてしまうことになれば不本意なはずです。
また、労働相談に訪れている求職者からしても、親身になって相談に乗ってくれていた相手が、3年が区切りという契約上の理由で4月から他の人に替わってしまうのは避けたいはずです。
当たり前のことですが、働き手はあえて不本意な働き方を選択したいわけではありません。本意な働き方をしたいのに、その選択肢が用意されていないときに、致し方なく不本意な働き方を選択せざるを得なくなるのです。そして、契約更新のたびに不本意な状態を継続するか、辞めるかというジレンマに陥ります。
そのジレンマを解消するには、発生源となっている「条件のズレ」を整理し、働き方が本意になるケースと不本意になるケースを把握する必要があります。条件のズレを整理するには、仕事内容や給与、勤務場所などさまざまな切り口がありますが、今回は“期間”を軸に条件のズレを考察したいと思います。
「雇用契約」と「職務ニーズ」の2軸で見てみると……
働き手が希望する勤務期間(期間限定か長期安定か)の違いをベースに、「雇用契約」の期間と「職務(ポジション)ニーズ」の期間の組み合わせについて整理してみると、「本意」と「不本意」のパターンが見えてきます。
期間限定雇用希望者の本意・不本意パターンについては次の図のようになります。「雇用契約」が無期限か期間限定かが縦軸、「職務(ポジション)ニーズ」が無期限か期間限定かが横軸です。
働く側が期間限定雇用を希望している以上、雇用契約も職務ニーズも無期限(図の左上)の場合については、原則として選ばないはずなので「不選択」と表記しています。また、図の右上のように職務ニーズが期間限定と分かっている場合に、雇用契約を無期限にすることも原則としてありません。そのため「不成立」と表記しています。
雇用契約と職務ニーズのどちらも期間限定の場合(図の右下)は、労働者の希望と雇用契約、職務ニーズの三方間にズレが生じないため「本意」だといえます。また、雇用契約は期間限定であるものの、職務ニーズは無期限(図の左下)だとしても、期間限定で働きたい労働者の希望は満たされるため、やはり「本意」です。
次に、長期安定雇用希望者の本意・不本意パターンを見てみましょう。
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