1000円に手を出す「ダイソー」と100円にこだわる「セリア」 コロナ禍でも好調な業界に変化:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)
コロナ禍でも100円ショップ業界が好調だ。「2強」のダイソーとセリアでは戦略が大きく異なる。キャンドゥとワッツの独自戦略にも迫る。
100円ショップは生活インフラ
100円ショップは大手4社の寡占状態だ。
年商は、「ダイソー」の大創産業が5015億円(20年3月末現在)、「セリア」のセリアが1815億円(20年3月期)、「キャンドゥ」のキャンドゥが730億円(20年11月期)、「ワッツ」「meets.」「シルク」のワッツが528億円(20年8月期)となっている。
店舗数は、大創産業が国内3493店(20年2月末現在)、セリア1726店(21年1月末現在)、キャンドゥ1075店(21年1月末現在)、ワッツ1269店(20年11月末現在)だ。
なお、業界5位で「FLET'S」「百圓領事館」を展開する音通(東証第2部上場)は、年商149億円(20年3月期)、147店(20年12月現在)だ。ローソングループの100円コンビニ「ローソンストア100」は682店(21年1月現在)を展開している。
帝国データバンクが2月20日に発表したプレスリリースによれば、20年度における100円ショップの業界売上高(事業者売上高ベース)は、過去最高を更新することがほぼ確実になったという。11年連続で増加しており、19年度には大手5社の合計で8722億円に達した。20年度は9000億円の大台も見えている。
店舗数も過去10年で4割増えた。10年度は5300店(FC含む)だったのが、19年度には7600店にまで増加。近いうちに8000店を超える可能性が高い。
ここまで増えれば、100円ショップは生活のインフラとなったと考えてよいのではないだろうか。
同プレスリリースは「100円ショップはコロナ禍で外出自粛や店舗休業の影響を受けたものの、消費者が自宅で過ごす時間が増えたため、特に家庭内の日用品など生活雑貨類の需要が急増した」としている。さらに「外食が手控えられた一方、中食や自炊のニーズが高まったことで、鍋などキッチン用品の需要が伸長。また、清掃用品、生活消耗品、手芸品、インテリア用品など、『おうち時間』を彩る雑貨需要が増加したこと」を好調の要因として挙げている。
ホームセンターが好調なのも、100円ショップと同じ理由だ。カインズ、DCMホールディングス、コーナンなどの既存店売上高は、20年3月から平均して1割ほど伸びている(対前年同月比)。
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