AOKIの「パジャマスーツ」は、スタンダードになるのか:ニューノーマル時代(2/3 ページ)
紳士服のAOKIから発売されている「パジャマスーツ」が売れているという。 確かに、コロナ禍における今日の生活者のニーズを適切に捉えた商品なのである。
自宅でのリモートワーク中は、負担のない楽な格好で過ごしたい。かといって、オンラインミーティングの度にわざわざ着替えるのは煩わしく、負荷がかかる。でも、カッチリした服装の相手と全く合わないような、不格好なことにはなりたくない……。
筆者は「ニーズは、ふ(不・負)の字に隠れている」と、ニーズを明らかにする方法をかねて提唱してきたが、正に、「負担・負荷・不格好……」という「ふの字」=「ニーズ」が、多くのリモートワーカーには存在しているわけだ。つまり、「不格好にならずに、ある程度相手に対する印象が良く、かつ、着替えの負担・負荷なく楽に過ごしたい」というニーズである。
そんなニーズに応える、素晴らしい「ウォンツ(モノ)」が発売されている。その名も、「パジャマスーツ」。紳士服のAOKIの商品。2020年11月からの販売である。
日経MJ2月1日号によれば、<今春までに売り場面積の1割まで広げる>という力の入れようであり、販売実績も<計画比の2倍><海外からも多数販売の問い合わせが集中している>と、2月8日号の日経電子版で、AOKIホールディングス社長 青木章宏氏がインタビューに答えている(参照リンク)。
同社の商品紹介ページでは、<「パジャマ以上・おしゃれ着未満」をコンセプトに、パジャマの快適さとスーツのフォーマルさを兼ね備えたセットアップアイテム。新生活様式により、「自宅でくつろぎながら、仕事時にはきちんとしていたい」というニーズに応え、「あったらいいな」を具現化しました>というコピーがある(参照リンク)。
「パジャマ」と「スーツ」という、対極にあるモノを組み合わせたネーミングだが、「できれば、寝起きのままのパジャマ姿で楽に仕事がしたい! だが、さすがにそれはできないけど、スーツに着替えるような負担はイヤだ!」という、顧客の心の声、ニーズを代弁しいて素晴らしい。創業者の青木拡憲会長が名付け親だというが、さすがである。
商品仕様としては、<ハリ感のあるニットやジャージー生地を使う。色は黒や紺などを用意し、着心地ときっちりした見た目を両立させた>とのことで、<税抜き価格はジャケットとパンツいずれも女性用が4900円、男性用が4990円>と、気軽き変える価格で提供されている点もポイントだ。(日経MJ2月1日号)。同社の生産、及びプライシングのノウハウが結実している。
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