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600万回以上再生されたJTの「想うた」 製品が登場しないCMは何を訴えているのか:広告から見る企業戦略(4/4 ページ)
JTが展開するCM「想うた」をご存じだろうか。俳優の北村匠海が演じる「村上優人」を中心に、両親、友人、同僚とのつながりを表現しているCMだ。
好意的な反応 楽曲の音源化も
これまでのシリーズを通して、同社には好意的な反響が寄せられているという。また、CMをきっかけに社名を検索する人もいて、会社の認知度向上にも貢献している。蔭山氏は、楽曲をベースとする戦略が功を奏したと胸を張る。さらに「楽曲の音源を発売して欲しい」という要望が寄せられ、楽曲のリリースが決定。20年12月にCDの発売と配信を開始している。
「CMのストーリーと同様に、楽曲の歌詞に共感し、自分事として捉える人が多かったと感じている。企業価値を高めることとしてやってきたCM放送だが、消費者の要望を結果的に叶えることができたのは良いことだと思っている」(蔭山氏)
また蔭山氏は、企業広告を通して「人材の確保」にもつながればと話す。「消費者が製品を選択する時に、メーカーを気にするものと気にしないものがあると思う。社名とブランドを結び付けることは難しい。またJTは、専売公社から民営化された企業であることを学校で習ったと思うが忘れている人も多い。広告を通して、社名を知るきっかけにもなれば」
たばこ離れが進む中、九州工場の閉鎖や1000人規模の希望退職を実施すると発表した同社。想うたシリーズで訴える「人に寄り添う」企業としてどのような展開を遂げるのかこれからが正念場だ。
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