ユニクロ・ワークマン参入で危機 AOKIの“4800円スーツ”は起死回生の一手となるか:磯部孝のアパレル最前線(4/4 ページ)
リモートワークの普及とともに「常時オフィス出勤」というこれまでの常識が通じない現在、ビジネススーツ業界にも新しい潮流がうまれて来ている。
もともと職場のカジュアル化の流れがあった所に、今回のコロナ禍によってビジネススーツ業界は一層厳しくなっている。もちろん、リモートワークという新しい働き方が加わったことによる影響は大きい。働く戦闘服としてシーズンごとに買い替えをしてきた客層は、リモートワークという新しい働き方に変化している。いつまでも古い慣習にだけに囚われてていては生き残れない。
ビジネススーツ専門店が百貨店の紳士服売り場から、ロードサイド型に専門特化して市場を奪取してきたように、今度は自分たちが異業種(カジュアル)からの参入によって、シェアを奪われかねないという崖っぷちの状態に陥っている。その危機感から、アクティブワークスーツという反転攻勢への一歩。巻き返せるパワーとこれからのビジネススーツへの在り方について新たな指標が築けるのか。今回集客できた客を離さない次の一手に注目したい。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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