再燃の「キャンセルカルチャー」に、企業はどう対処すべきか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
「キャンセルカルチャー」をご存じだろうか。人権問題などを狙って否定し、ボイコット運動などを起こすことだが、米国でこの問題が再燃している。どういうことかというと……。
標的になった企業は痛手
今なら、新型コロナウイルスのまん延や香港などへの強行姿勢で中国は欧米諸国から批判され、政治家や文化人からも、中国はけしからん、という批判が聞かれる。だがそれは現代の国際的な「覇権争い」のなかでは、大きな問題になっていない。
しかしキャンセルカルチャーのように、標的になった企業は不買運動などによって痛手を受けるケースがある。例えば昨年、オレオで有名な企業モンデリーズ・インターナショナルは、LGBTQ(性的マイノリティ)の問題を扱ったCMを流したところ、過激な反対派が「子どもたちを洗脳しようとしている」と批判した。本来なら多様性を受け入れるという歓迎すべき話なのだが、反対派がボイコットを呼びかけると騒ぎになった。
少し前にさかのぼると、2016年には、米飲料大手「ペプシコ」のCEOが、大統領選に勝利したばかりのドナルド・トランプに否定的なコメントをしたことで不買運動が起き、17年には米アウトドアブランド「L.L.Bean」の創業者の孫が、トランプの支援団体に寄付していたことで不買運動に発展した。
こうした動きは、個人にも及ぶ。16年には、アメリカンフットボール選手だったコリン・キャパニック選手が黒人差別事件に抗議する意味で、国歌斉唱のときに膝をついて座り続けたことで大騒ぎになった。有望選手だったキャパニックは、この件を受けチームを去り、それ以降、すべてのチームと契約してもらえない状況になった。
ハリーポッターシリーズで知られるJ・K・ローリングは、20年にトランスジェンダーを嫌うようなコメントをしたことで反発を受け、ボイコット運動に直面した。米国の超人気カントリー歌手であるモーガン・ウォレンは、プライベートで差別用語を叫んでいる動画が拡散され、ラジオ局などが彼の曲を流さない状況になった。
こうした流れが影響したのかどうかは分からないが、映画『トイストーリー』などでお馴染みの「ミスター・ポテトヘッド」の製造メーカーは2月25日、「ミスター」を取ると発表した。ポリティカルコレクトネス(ポリコレ)的に、ミスターという言葉で男性に限定したくないということらしい。
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