不祥事・炎上はなぜ絶えない? スタートアップ企業のトラブル事案から考える、危機管理広報の在り方:働き方の「今」を知る(4/4 ページ)
企業の不祥事や炎上は、後を絶たない。最近でも、スタートアップ企業で薬機法や景表法に関するトラブルが起こった。どうすれば、こうしたトラブルをなくせるのか。今の時代に、あるべき危機管理の姿を探る。
(6)自社従業員の心理面にもケアをすること
ネガティブ報道に対する不安や動揺、もしくは世の中からのバッシングを最前線で最も強く受けるのは、自社従業員である。報道を受けて、代表電話には苦情や問い合わせの電話がかかってくるし、それに対応している社員の様子を見た周りの社員にもやるせない思いが広がっていくことだろう。
疲弊して帰ってきた従業員を迎える家族にも、心理的負担がのしかかってくることは間違いない。そんな大変な従業員たちこそ、前線で会社のことを代弁し、場合によっては弁護しなければいけないのだ。そういった構図であることを前提に、会社として対応を考えていかなければならない。
(7)普段からポジティブな情報を発信し続けること
自分たちのやっている活動がいかに世の中に貢献しているのか、普段から発信していくことこそ、ネガティブ報道に対する最大の防御といえる。何ら情報がなければ、いざネガティブ報道が広がったときにネット上はネガティブ情報のみであふれてしまうが、ポジティブ情報が圧倒的に多ければネガティブ情報は埋もれるし、それだけあなたの会社を応援してくれる人が増え、「そんな会社ではない」と考えてくれることにつながるはずだ。
さて、今回は直近で起こったスタートアップ企業の事例を基に、危機管理の基本を解説してきた。スタートアップ企業では、事業規模が小さいということもあり、社会問題というほどまで炎上が広がるケースはそう多くない。そこで次回の記事では、有名企業で不祥事が起きたケースを基に、うまく対応できなかった失敗例と、一方で対応に工夫し、うまく立ち直った成功事例を見ていく。
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