コラム
東北新社・NTT・総務省のエリートたちは、なぜハイリスクでも高額接待を実行したのか:「密室」問題から読み解く(1/5 ページ)
東北新社やNTTの官僚接待が波紋を呼んでいる。なぜ、エリート官僚はリスクの高い接待に応じたのか。解決のカギは「密室文化」にありそうだ
総務省の幹部たちが菅義偉内閣総理大臣の長男などから接待を受けたことが問題視され、さらには他の接待疑惑も指摘されるなど波紋が広がっています。
高額の接待を受けたとされる内閣広報官の辞任について、NHKは3月1日に「山田内閣広報官が辞職 総務省接待問題で 菅首相 国会で陳謝 」と題して報じました。この中で、18年に汚職事件を経験した文部科学省の中堅職員は、以下のように述べています。
「省内で起きた事件では職場の人が検察の取り調べを受けるという事態を目の当たりにしており、接待を受けることを甘く見てはならないと痛感した」
接待されたのが、知識を持たない危機意識が薄い人たちの集まりだったのであれば「うっかりしたのかな」とも受け止められますが、今回は国家公務員の中でも特にエリート層が接待を受けたのであり、1人7万円を超える高額な飲食だったことなどから、「うっかり」で片付けられるとは思えません。
接待する側も、接待される側も、双方にリスクがあることを承知で行っていたはずです。なぜ、リスクを冒してまでも接待する必要があったのでしょうか。それは、リスクを冒してでも接待する/されることにメリットを感じていたからに他なりません。
密室がもたらすメリットとは
接待の場では“密室”が構築されます。密室を構築するメリットはさまざま考えられますが、大きく分けて3点を挙げることができます。そして、これらのメリットは互いに依存しあう関係にあります。
関連記事
- ブラックジョークでは済まない「ハロワ職員1万人雇い止め」問題 非正規雇用の「使い捨て」を解決するために求められるもの
ハローワーク職員の「雇い止め可能性」が一部新聞で報道され、話題になった。一部では非正規雇用を単なる「調整弁」や「使い捨て」としてしまっているケースもあるが、今後はそうした不本意型の非正規雇用を減らしていく必要がある。では、具体的に、どうすればいいのか。 - もはや時代遅れ? 今こそ日本企業は“コミュ力”信仰から脱却すべきワケ
経団連が発表した教育界への提言が、波紋を呼んだ。経済界が教育界へ提言をする一方で、経済界も変わる必要が求められているといえる。その一丁目一番地は、“コミュ力”信仰かもしれない。 - なぜ東北新社は「首相の息子で官僚を接待」というアウトな戦略を選んだのか
菅義偉首相の長男が、幹部官僚らを接待していたことが明らかに。それにしても、なぜ接待したのか。アウトな行為は、脈々と続いていて……。 - 「総務省は常識を逸脱」 渋谷区と総務省が対立の“住民票LINE交付”巡り、技術提供会社が国を提訴
渋谷区と総務省が対立していた「住民票」問題。交付申請の際、LINEで本人確認する点を総務省は問題視して「事実上法令違反」とする通知を出していた。一方、総務省の対応は違法だとして技術提供会社が国を提訴した。 - 本当に大丈夫? 菅首相の「地銀再編」発言が、再び“失われた10年”を呼びそうな理由
菅首相がしきりに口にする「地銀再編」。確かに苦境に置かれる地銀だが、再編はうまくいくのだろうか。筆者は過去の長銀破綻を例に出し、また「失われた10年」来てもおかしくないと指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.