「自転車界のインテル」を生んだ日本で、なぜ配達員に“批判の声”が出ているのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
自転車の部品を開発している「シマノ」が、海外で称賛されていることをご存じだろうか。世界のスポーツ自転車向け部品のシェアは85%で、その高い技術力から「自転車界のインテル」と呼ばれている。そんな企業を生んだ国で、「自転車ヘイト」が起きている。なぜかというと……。
自転車配達員に批判の声
ご存じのように最近、ネットやSNSで、街を颯爽(さっそう)と駆け抜けるロードバイクおじさんやウーバーイーツや出前館などの自転車配達員に対して批判が高まっている。背景にあるのは、「マナーの悪さ」だ。
例えば、20年9月にセゾン自動車火災保険が、首都圏在住の40〜50代の自動車ドライバー500人を対象に調査をしたところ、「信号無視や無理な横断」(83.8%)、「スマートフォンを操作しながらの運転」(72.8%)、「イヤホンなどを用いて音楽などを聴いている」(69.2%)などマナーの悪い自転車を数多く目撃しており、約3割が「自転車と事故になったことがある」と答え、約6割が「事故になりそうになったことがある」と回答した。
事実として、事故も増えている。警視庁によれば、都内では昨年、業務で自転車に乗る人が関係する事故が585件発生していて、その中で2割近い98件が歩行者との衝突事故だった。配達員が歩行者を当て逃げして検挙されたケースや、高速道路に侵入するなど危険運転もたびたび報じられている。
あまりにも横暴さが目にあまるということで、東京都議会では、他国ではあまり聞いたことがない「背番号制」の導入も検討されているほどなのだ。
という話を聞くと、「マナーの悪さは個々のモラルの問題なので、シマノがあるとかないとかはまったく関係ないだろ」と思うかもしれないが、そんなことはない。シマノが「自転車界のインテル」と呼ばれるほど成長できたのは、日本の職人気質うんぬんもさることながら、自転車マナーに大きな影響を与える「日本の自転車文化」によるところも大きいからだ。
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