テレワーク中の労務トラブルQ&A 「常時カメラをON」はプライバシー侵害?:専門家が解説(2/5 ページ)
テレワークを導入している企業が増えているものの、その運用がうまくいかず、不具合やトラブルが生じているケースもあります。ここでは、労務関係におけるトラブルの解決法を紹介します。
【A】
テレワークは、部下の仕事の様子が分かりにくいため、必要以上に業務報告を求めたり、テレビカメラを終日ONにさせたがる上司もいるようです。
しかし、自宅でカメラを使用する場合は、プライバシーへの配慮が必要となります。常時カメラをONにすれば、家のなかでの会話や生活音なども聞こえてしまいます。また、室内の様子が映っている際に、趣味のポスターや置物について茶化すような発言をすればハラスメントにもなり得ます。
会社が従業員を管理する際に、「監視する」という考え方でいると、労使トラブルが発生しやすくなります。業務の進行を管理するなら、チャットなどのツールを使うことでも事足りるはずです。
また、上司への報告や、ミーティングが頻繁にあると、従業員が本来行うべき業務が滞ってしまい、結果的に生産性を低下させてしまいます。
テレワークで従業員の仕事ぶりを評価する際には、プロセスよりも結果を重視しましょう。そうすれば、従業員の仕事ぶりを監視する必要もなくなるはずです。
【Q】
業務時間中に中抜けをする従業員をどのように管理すればよいですか。
【A】
テレワークでは、プライベートな理由による中抜け時間が発生しやすくなります。
日本の会社では、基本的に勤務時間に対して賃金が支払われるため、会社としては「働いている時間」をきちんと把握したいのは当然でしょう。
しかし、ある程度の中抜けは許容して、従業員の自主性に任せたほうが生産性はかえって高まるものです。
また、育児や介護を理由とした従業員の退職を未然に防ぐことにもつながるので会社にとってもメリットは大きいはずです。
もちろん、ショッピングやゲームといった「サボり」は論外ですので、中抜け時間が長いとみられる従業員には、勤務状況を監視するのではなく、業務の進行を管理することで、生産性を下げないようにさせるとよいでしょう。
また、育児や介護といった理由でまとまった時間の中抜けが必要な従業員がいる場合は、勤怠管理ソフトなどを使って、所定労働時間中に業務を中断できるようにしてもよいでしょう。
なお、従業員が途中で中抜けを1時間申請した場合、終業時刻をその分繰り下げるといった始業・終業時刻の変更が行われる場合には、その旨を就業規則に記載する必要があります。
また、中抜け時間を休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも可能です。この場合には、労使協定の締結が必要となります。
【Q】
テレワークになってから長時間労働になりがちな従業員がいるようです。会社としてどのように対応すべきですか。
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