コラム
テレワーク中の労務トラブルQ&A 「常時カメラをON」はプライバシー侵害?:専門家が解説(3/5 ページ)
テレワークを導入している企業が増えているものの、その運用がうまくいかず、不具合やトラブルが生じているケースもあります。ここでは、労務関係におけるトラブルの解決法を紹介します。
【A】
仕事とプライベートの境目が曖昧になることで、かえって長時間労働をしてしまう従業員もいるようです。
長時間労働は労働基準法の問題はもちろんのこと、従業員の心身の健康を守るためにも適切な管理が必要となります(図表2)。
勤怠管理ソフトなどを使って労働時間を把握し、長時間労働が顕著な従業員には、1日の働き方を確認して、業務の内容や進め方を見直すよう指導します。
また、テレワークでは自宅から会社のシステムにアクセスして業務を行なうことがあります。深夜や休日には、基本的に会社のシステムにアクセスできない設定にしておくことも、長時間労働の防止に有効です。
【Q】
テレワークを機にフレックスタイム制の導入を検討しています。どのような点に留意すればよいですか。
【A】
従業員の都合に合わせて始業・終業の時刻を調整できるフレックスタイム制はテレワークと相性がよく、導入する会社が増えています。
フレックスタイム制の導入に当たっては、次の労働基準法32条の3に基づいた運用が必要です。
- 就業規則その他これに準ずるものにより、始業および終業の時刻をその従業員の決定に委ねる旨を定める
- 労使協定において、対象労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間等を定める
また、フレックスタイム制は、時間外労働が把握しにくい分、労働時間をしっかり管理する必要があります。
【Q】
テレワークを機に、事業場外みなし労働時間制を導入すれば、残業代の支給は不要ですか。
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