テレワーク中の労務トラブルQ&A 「常時カメラをON」はプライバシー侵害?:専門家が解説(4/5 ページ)
テレワークを導入している企業が増えているものの、その運用がうまくいかず、不具合やトラブルが生じているケースもあります。ここでは、労務関係におけるトラブルの解決法を紹介します。
【A】
事業場外みなし労働時間制を採用していても、法定労働時間を超えて労働した場合には、残業代の支払いが必要となります。
休日や深夜労働の割増賃金も発生しますので、トラブルを避けるために、これらは原則禁止とするか、事前申請を義務とするよう就業規則に規定しておきましょう。
また、事業場外みなし労働時間制を導入するには、次の要件が必要となります。
- 会社の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難であること
- 情報通信機器を通じた、会社の指示に即応する義務がない状態であること
- 随時会社の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
テレワークであっても、自宅勤務などでオフィスにいるときと同じように労働時間が算定できる場合には、事業場外みなし労働時間制が採用できないので注意が必要です。
【Q】
テレワークによるメンタル不調に悩む従業員にはどう対応すればよいですか。
【A】
テレワークは、ある程度経験がある従業員に限定している会社もありますが、全員一律にしている会社では、新卒で入社した新入社員がメンタル不調に陥るケースが多いようです。
これは、近くに同僚や先輩がいないため気軽に質問や相談ができず、1人で悩みを抱え込みやすいことが原因と考えらえます。
オンライン会議などを使って、悩みを打ち明けられる環境を整える会社もありますが、実際に会っていない人に、カメラに向かって相談はしにくいものです。
孤独感による鬱を抱える従業員も増えています。実際に会える場所を提供することも必要です。
しかし、定期的に集まることを強制参加とすることは望ましくありません。なかには、顔を合わせないことで働きやすさを感じている従業員もいるためです。
絶対にこうしなければならない、という画一的な考え方ではなく、それぞれの従業員の性格に合わせて働きやすい環境を整える必要があります。
なお、労働安全衛生法上の観点からも、会社は労働者の健康確保の措置を講じる義務があるとされています(図表3)。
【Q】
直接雇用の従業員がテレワークをしていても、派遣社員だけテレワークが許可されません。これは、法違反ではありませんか。
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