「鉄道を盛り上げるボランティア」の報酬は何か 網走に学ぶ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/7 ページ)
JR北海道は、SL列車「SL冬の湿原号」を釧路側、「流氷物語号」を網走側と、2つの観光列車を東部で冬に運行している。しかし新型コロナの影響で「あばしりオホーツク流氷まつり」が中止。運行中止の恐れもあった「流氷物語号」の運行を後押ししたのはボランティア団体だった。その活動から、ボランティアの報酬について考える。
JR北海道は冬の東北海道で観光列車を2つ運行している。釧路側はSL列車「SL冬の湿原号」、網走側は「流氷物語号」だ。釧路と網走を結ぶ釧網本線の両端にあたる。冬の北海道の観光の目玉として、「SL冬の湿原号」は2000年から運行を開始した。「流氷物語号」は17年の運行開始だから歴史は浅いけれども、その前身は1990年から運行を開始した「流氷ノロッコ号」であり、20年の歴史がある。
3月10日にJR北海道が公開した「釧網本線冬期観光列車のご利用状況について」によると、「SL冬の湿原号」の運行は、1月23日〜2月28日の土休日を中心に1日1往復。20日間で、乗車人数は7123人、前年比75.1%だった。COVID-19によって首都圏などに緊急事態宣言が発出され訪日観光客が皆無という状況だったが、道内の観光客が下支えした結果だ。SL人気強し、といえる。
一方、「流氷物語号」の運行は1月30日〜2月28日の毎日2往復。悪天候の運休4日を除き30日間の運行で、乗車人数は3308人、前年比43.8%だった。平日はガラガラで、乗客は土休日に偏った。この数字はSLに比べると残念だけれども、今年の特異な悪条件下では健闘したといえるだろう。
COVID-19の影響で、50年以上も続く「あばしりオホーツク流氷まつり」が中止になってしまった。網走駅最寄りの女満別空港を発着する航空便が減便された。新たに成田空港からLCCのPeachが乗り入れたけれども補えきれない。
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